ビシュフレはたくさん会うねという話「おはようございます!」
モーニングコールで一回。
竜の間でセルザに挨拶をして、そのまま執事の間にいるヴォルカノンさんとクローリカ、そして君にも軽く二回目の挨拶。
「今日は立派なかぼちゃがたくさんありますね!」
畑で作物の世話をしていたら、出荷箱を確認しにきた君と三回目。
「イライザ、今日の依頼は?」
依頼箱を確認する私のすぐそばで城の掃除に精を出してる君がいる。確認が終わり、さっそく今日の依頼をこなしに行く前に、君に行ってきますと声をかける。
「いってらっしゃいませ! お気をつけて」
さて、もう何回目だろう。
町の中でも何度も彼を見かけるようになった。というより、いつからか彼を目で追うようになっていた。
「会う回数が多いと、その人のことを好きになりやすいんだって! でもそれって、会わない人のことは好きになりようがないから、当たり前だよね?」
以前、キールくんが本で得た知識をそう教えてくれた。
彼に会うたびに惹かれていく。それは、たくさん会ってるからだろうか?
だから、というわけではないけど。
ただ少しでも会いたくて、この時間は食堂にいるだろうかとか、鍛冶屋さんにいるだろうかとか。そう考えながら依頼や買い物をこなす順番を決めて、あたかも偶然のように君の視界に入ったりもするようになった。
「また会いましたね」
いつか、こんな偶然を装わなくても、君の隣にいられるようになりたいな。