君と青い花(仮) 実は、姫がレオンさんに告白したことは知っていました。
だって、城の前ですよ?
僕はその日も、二人が居たところを掃除する予定だったんです。掃除用具を持って外へ出ようとしたところで、二人の話し声が耳に入ってきたんです。なんだかただならぬ様子でしたので、いけないと思いながらもつい身を潜めて聞き耳を立ててしまいました。ああそうか、やっぱり姫はレオンさんのことが好きだったんですね。わかっていたつもりだけど、姫の声で、その事実を示されるのは辛かったです。僕の恋ももう終わり。そんな思考が巡る頭に入ってきたのは、予想に反して突き放すようなレオンさんの声と、震える姫の声でした。
姫が悲しんでいると、僕も悲しいです。
でも僕は同時に、良かったと思ったんです。姫が他の人と付き合わなくて。主の不幸を喜ぶなんて執事にあるまじき気持ちです。これだから僕は半人前なんですね……。
「いいことを教えてやろう」
僕と姫が付き合ってからのレオンさんは、そう言ってよくアドバイスをくれました。
レオンさんなりに、僕と姫が上手くいくように気を遣ってくれているのかなとか。レオンさんが言うのだから、姫はレオンさんが言うようなことが好きかななんて。
そんなことを思っていつも実行してみます。どうやらからかわれているみたいで、結果は散々でしたけど……。