メイドの独白メイドの記録
わたしがカブルー様のお屋敷へやってきたのは15のころでした。
働きに出るため田舎から王都へきたのです。
村から働きに出る女はわたし一人きりで、王都へいく荷馬車に乗せてもらい揺れる道を耐えて一週間ほどかかりました。その頃には親が少し持たせてくれた路銀はほとんどすっかりなくなっていました。
そんなような有り様でしたから早く仕事を見つけるために私は必死だったのです。
酒場の女中や、縫製店の下働き、ただ働き口があればなんでもよかったのです。
教養はありませんから、あたまのよいひとがするような難しい仕事はできません。
もし何もなければ娼婦になるしかないと思いました。
お店を訪ねても、中々仕事は見つかりませんでした。何軒も訪ねては断られて、お金もない故郷から遠い場所でひとりぼっちでどうしようもなくなってしまったのです。
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