花明りに色めいて「勇さん、ちょっと付き合ってもらってもいいですか?」
冬の寒さも和らぎはじめた頃から、忙しい日々の合間をぬって小瀧が南海を誘う事が増えた。その内容は様々で、単純に買い物に付いてきてもらったり、一人じゃ続かないからと体力作りに付き合ってもらったり、新作のスイーツがあるから食べにいってみたり……、と日常の延長やちょっとした息抜きの時間がほとんどである。
そうした小瀧の誘いに付き合っていた南海は、前よりも息を抜く時間が増えたような気がしている。
買い物も、トレーニングも、スイーツを食べるのも、一人で出来る。それでも、小瀧に誘われるまま二人でしていると、昔を思い出すのだ。
一緒にお使いにいって、サッカーを教えて、おやつを食べる――毎日が充実していたあの頃みたいに、満たされるようなそんな気持ちになる。
4677