荊館町外れのその洋館は古くからそこにありました。
錆びて朽ちかけた門扉はそれでも堅く閉ざされていて、幾重にも荊が絡み誰の侵入も拒んでいるようでした。
屋敷をぐるりと取り囲む生垣と鉄製の柵も、刺々しく威圧的です。
洋館へと続く道は、どこへも通り抜けることのできない袋小路になっていて、通りかかる人もいない、そんな場所でした。
ある日、子供たちのはやし声が近づいてきました。
甲高い笑い声には嘲りと侮蔑が色濃く滲んでいます。
子供たちは正面から少し回り込んだところまで進んで、生垣が僅かに低くなっている場所で立ち止まりました。
先頭を歩いていた子供が振り返り、輪の中で小突き回され揶揄われていた子供の前に立ちはだかりました。
18479