サマー・タスク「ねえ、もう夏終わるよ!」
ブランチが並ぶダイナーのテーブルで、マーヴは何の前置きもなくそう口にした俺の声に目を丸くした。そのまま彼は周囲のテーブルに視線を巡らせ、他の客に俺の渾身の叫びが聞こえていないかと確認して曖昧に答えた。
「そうだね……いや、そうかな?」
「どっち?」
「そうかな、の方」
それから片手にフォークを持ち、サーモンのサラダを飲み込みながら窓の外を指し示す。
「ブラッドリー、外を見て。こんなに暑いんだ、まだ終わったりしないよ」
「そんなこと言ってたら知らないうちに置いてかれるよ」
「誰に?」
「夏に」
マーヴは口を薄く開け、わけがわからないとでも言いたげな視線を俺に向けた。そういう人が一番夏に置いていかれちゃうんだよ。
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