サカサマ胎児 俺はこう見えて、我慢する方だったと思う。
親父が生きていた頃には、特に。
親父が壊したいと言えば、美しかった星も破壊して、俺が心動かされるモノ全てをくれてやった。
親父は「お前には振り回された。」と言っていたが、それは違う。
お前に振り回されたのは、俺の方だ。
先ず第一に、親父は俺の性格を恥じた。
大佐の息子とは思えない暴力性に眉を潜め上げ、如何してこうなってしまったのかと頭を抱えた。
また、食事に関しても、手で鷲掴みにする俺に溜息を吐いて、品行の良い食べ方へ徹底的に矯正した。
品、品、品・・・・・親父は品のある生き物にしたかったのだ。
俺を。
「俺の為に全てを破壊しろ。」と言うくせに、俺が手にしたかったモノを壊せと言うくせに。
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