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    Sweet

    @9lNN3tuwDvw0Ldi

    Sweetと申します。
    小説やイラストを載せていこうかなと思っていますが、主に小説がメインとなる予定です。

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    Sweet

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    Zブロリーのマナーの良さと、対になる暴力性について。
    父の為に品性が芽生え、父の為に暴力的になったのではないかという小話。

    #ドラゴンボール
    Dragon Ball
    #Zブロリー
    zBrolly

    サカサマ胎児 俺はこう見えて、我慢する方だったと思う。
    親父が生きていた頃には、特に。
    親父が壊したいと言えば、美しかった星も破壊して、俺が心動かされるモノ全てをくれてやった。
    親父は「お前には振り回された。」と言っていたが、それは違う。
    お前に振り回されたのは、俺の方だ。

     先ず第一に、親父は俺の性格を恥じた。
    大佐の息子とは思えない暴力性に眉を潜め上げ、如何してこうなってしまったのかと頭を抱えた。
    また、食事に関しても、手で鷲掴みにする俺に溜息を吐いて、品行の良い食べ方へ徹底的に矯正した。
    品、品、品・・・・・親父は品のある生き物にしたかったのだ。
    俺を。
    「俺の為に全てを破壊しろ。」と言うくせに、俺が手にしたかったモノを壊せと言うくせに。
    親父は恥じる。
    品性を得ろと何度も何度も口にして。
    けれど俺は、親父の為に、全部を手放した。
    残しておきたかった星も、壊した。
    やりたくもなかった言葉の使い方を覚え、必死になってナイフとフォークを扱った。
    心の中では、本当は、親父を好いていたから。
    だから俺は、俺と言う化け物を壊した。
    親父の為に。









     俺の因縁と対峙した時、俺は感情をコントロールできなくなった。
    白くなる視界の中で、何かを壁に叩きつけているのが分かる。
    音だけが残った世界の中で。
     俺は恐ろしかった。
    自分が自分ではない。
    止めようもなく溢れる力も、抑え切れない破壊衝動も、何もかもが恐怖の対象となった。
     誰かが「破壊する。」と言った。
    生まれてから、この長い年月を毎日のように聞いていた声だった。
    誰かが「化け物め。」と言った。
    分からないが、大切な子供を護る男の声だった。
    俺は嗤う。
    「俺は悪魔だ。」と。
    唯の白い空間を見つめ乍ら。
    だが俺の本心の中では、その関係を羨ましく思っている。
    親子のような、“大人と子供”の関係を。


     だが・・・・・親父は、遂に俺への恐怖心を止められなかった。
    俺が親父の前に着いた時、親父は脱出用ポッドに乗って、消滅せんとしている惑星から逃げ去ろうとしていたのだ。
    俺を置いて。
    俺の入る空間など、一つも見当たらない機体の中心に座り込んでいた。
    俺の巨大な影を目の当たりにした親父は、目を見開いて硬直した。
    「何処へ行く。」と俺は言った。
    親父は焦ったように、「お前と一緒に、脱出する準備をしていた。」と口走る。
    親父の目は、もはや俺を息子としてではなく、何かもっと別の、恐ろしいモノででもあるかのように映していた。
     それを知った時、俺は量り知れない怒りや不安、悲しみといった感情に押し潰されそうになった。
    目の前の男の為に努力してきた全てが、壊してきた俺という存在が。
    お前の所為で犠牲になったという感覚に変わる。
    (俺はお前の為にさんざ生きてきたのに。お前の為に自分を偽ってきたのに。)
    お前は、俺に死ねと言のか・・・?

     嗚呼、そうか。
    だったらいい、もう、別にいい。
    俺はお前の息子ではない。
    お前も俺の父ではない。
    端から俺達は、別々の運命を辿って来た赤の他人だったのだ。
    他人だから「死ね。」と言える、流石サイヤ人。
    何、言っていない?
    ハハハハハ、俺は心の声を聞いた、お前の本心を聞いた。
    お前は俺に死んで欲しかった。
    ハハハハハ、浅はかだ、馬鹿だった、俺達は。
    ハハハハハ、ハハハハ、ハハハ。







     今はもう、握り潰した機体の中に、柔らかく感じられた肉片の温かさは覚えていない。
    代わりに育まれた心の冷たさが、俺を全て支配していた。

     遠くの方で声が聞こえる。
    これも聞き覚えのある、誰かに面影の似たような声だ。
    その声は言う。
    「あの赤児は殺すべき。」と・・・・・。
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