「影と炎の境界」薄暗い艦内の一室に、ウォルフガング・ミッターマイヤーの低い声が響いた。
「卿がそんな目で俺を見るなら、我慢するつもりはないぞ、ロイエンタール。」
オスカー・フォン・ロイエンタールは背を壁に預け、金銀妖瞳——青と黒の輝きが交錯するその視線でミッターマイヤーを睨みつけた。普段の彼は、帝国軍の「双璧」の一人として知られる冷徹な提督であり、その美貌は彫刻のように完璧だった。長い黒髪が肩に流れ、鋭い顎のラインと白磁のような肌が、彼の高潔さと孤高の気品を際立たせる。戦場では誰よりも誇り高く、決して屈しないその姿は、多くの者を畏怖させ、魅了してきた。だが今、その瞳には挑発的な揺らぎが混じり、ミッターマイヤーの前で微かに揺れている。
ミッターマイヤーは一歩近づき、がっしりとした手でロイエンタールの顎を掴んだ。力強い指先が白い肌に食い込み、微かな赤みを残す。
「何だ。俺に逆らうつもりか?」ミッターマイヤーの声は抑揚を抑えつつも、支配の響きを帯びていた。彼の瞳は燃えるような決意に満ち、ロイエンタールの反抗的な瞳を見逃さない。
ロイエンタールは唇の端を歪めて笑った。
「逆らう? 俺がそんな無駄なことをすると思うか、ミッターマイヤー。卿が俺をどう扱うか、見てやろうじゃないか。」その言葉は挑発的でありながら、どこか従順さを孕んでいた。普段の彼なら、こんな言葉を口にすることすらあり得ない。戦場で敵を冷たく見下ろし、一切の隙を見せないロイエンタールが、今はミッターマイヤーの前に立ち、微かに息を乱している。
ミッターマイヤーは目を細め、ロイエンタールの顎を離すと、そのまま首筋に手を滑らせた。力強い掌が細い首を包み込むように撫で上げると、ロイエンタールの息が僅かに途切れた。彼の首筋はあまりにも美しく、まるで大理石のように滑らかで、血管が薄く透けて見えるほど繊細だった。ミッターマイヤーはその美しさに目を奪われながらも、支配欲を抑えきれず、唇を耳元に寄せた。
「口では強がっても、体は正直だな。卿がどうやって俺に屈するのか、じっくり確かめてやる。」
ロイエンタールは目を閉じ、微かに首を振ったが、それは抵抗ではなく、期待を隠しきれなかった証だった。長い指がミッターマイヤーの胸に触れ、軍服の布地を掴む。その瞬間、ミッターマイヤーはロイエンタールの両手首を掴み、一気に壁に押し付けた。
「動くな。お前は俺の言う通りにすればいい。」ミッターマイヤーの声は命令そのものだった。ロイエンタールの瞳が一瞬揺らぎ、すぐに熱が宿った。普段の彼なら、こんな命令に従うはずがない。戦場で部下に絶対的な服従を強いるのは彼の方であり、誰かに支配されるなど想像もつかない姿だ。だが今、彼の金銀妖瞳はミッターマイヤーの視線に絡め取られ、抗う力を失っていた。
「卿の命令なら…聞いてやらなくもない。」ロイエンタールの声は掠れ、甘い響きを帯びていた。SUBとしての本性が、ミッターマイヤーのDOMの力に引き出されつつあった。
ミッターマイヤーは満足げに笑い、ロイエンタールの両手首を片手で押さえつけたまま、もう一方の手で軍服の襟を乱暴に開いた。白い肌が露わになり、艦内の冷えた空気が首筋を撫でる。ロイエンタールの美しさは息を呑むほどだった。鎖骨の優雅な曲線、薄く浮かぶ青い血管、長い睫毛が影を落とす頬——その全てが、まるで芸術作品のように完成されていた。彼は身を震わせたが、目を逸らすことはしなかった。ミッターマイヤーの視線がその肌を這い、獲物を吟味する獣のような鋭さを帯びる。
「膝をつけ、ロイエンタール。」ミッターマイヤーが低い声で命じた。明確なコマンドだった。ロイエンタールは一瞬、金銀妖瞳を鋭く光らせたが、すぐにその視線を柔らかく変え、ゆっくりと膝を折った。普段の誇り高い提督が、戦場で決して見せない従順さでミッターマイヤーの前に跪く姿は、あまりにも衝撃的で美しかった。
「お前はいつもそうだ。強がって、挑発して…でも結局、俺の手の中にいるんだ。」ミッターマイヤーはそう言いながら、ロイエンタールの首筋に唇を寄せた。熱い息が肌に触れ、鋭い歯が軽く食み込む。ロイエンタールは喉の奥で低く呻き、身体を硬直させた。普段の彼なら、こんな無防備な声を漏らすことなどあり得ない。高潔な提督としての仮面が剥がれ、ミッターマイヤーの前でだけ見せる脆さが露呈していた。
「目を閉じろ。そして俺の声だけを聞け。」ミッターマイヤーが再びコマンドを下した。ロイエンタールは即座に従い、長い睫毛が静かに伏せられた。その従順さは、普段の彼の誇り高い態度とは正反対で、ミッターマイヤーの支配を完全に受け入れている証だった。
「…ミッターマイヤー。」ロイエンタールの声は掠れ、抑えきれぬ感情が滲んでいた。金銀妖瞳が閉じられ、薄暗い部屋の中で彼の美しさがさらに際立つ。ミッターマイヤーはその反応に満足したように唇を離し、耳元で囁いた。
「名前を呼ぶなら、もっと甘く呼べ。お前が俺に屈した証を聞きたい。」
ロイエンタールは一瞬言葉を失い、唇を噛んだ。だが、ミッターマイヤーの指が首筋を這い、鎖骨へと下がると、小さな吐息が漏れた。
「ウォルフガング…」その声は、普段の冷徹なロイエンタールからは想像もつかないほど柔らかく、壊れそうに脆かった。戦場で敵を嘲笑う彼の声とは別人のように、ミッターマイヤーにだけ許された甘さが滲んでいる。
「立て。そして俺に近づけ。」ミッターマイヤーが新たなコマンドを発した。ロイエンタールは膝から立ち上がり、ミッターマイヤーの前に進み出た。彼の動きは流れるように優雅で、なおかつ従順だった。ミッターマイヤーの目に暗い炎が灯り、彼はロイエンタールの腰を掴んで引き寄せた。二人の身体が密着し、軍服越しに互いの熱を感じる。ロイエンタールは一瞬バランスを崩しかけたが、ミッターマイヤーの腕に支えられ、抗うことなくその力に身を委ねた。その姿は、普段の誇り高い提督とはかけ離れていた。
「お前は俺のものだ、ロイエンタール。どれだけ強がっても、どれだけ戦場で無敵を誇っても、ここでは俺が支配する。」ミッターマイヤーの声は低く、絶対的な確信に満ちていた。彼の手がロイエンタールの背中に回り、強く抱き寄せる。ロイエンタールは抵抗する素振りを見せなかった。SUBとしての本能が、ミッターマイヤーのDOMの力に完全に引き込まれていたのだ。
「…お前がそう言うなら、俺は従うしかないだろう。」ロイエンタールはそう呟き、ミッターマイヤーの胸に額を寄せた。長い睫毛が震え、普段は決して見せない弱さが垣間見える。その美しさは、まるで月光に照らされた湖面のように静かで儚く、ミッターマイヤーの心を強く揺さぶった。
「俺を見ろ。そして俺に全てを預けろ。」ミッターマイヤーのコマンドが再び響いた。ロイエンタールは顔を上げ、金銀妖瞳をミッターマイヤーに向けた。その視線には、抗いようのない服従と、確かな熱が宿っていた。ミッターマイヤーはその姿に目を細め、ロイエンタールの髪を掴んで顔を近づけた。黒髪が指の間を滑り落ち、その感触すらも彼の美しさを際立たせる。
「従うだけじゃ足りない。お前が俺を求める声が聞きたい。」ミッターマイヤーの言葉は命令を超え、欲望そのものだった。彼の唇がロイエンタールの唇に迫り、僅かな距離で止まる。二人の息が絡み合い、部屋の空気が一気に熱を帯びた。
「言え。お前が俺をどう求めているか。」ミッターマイヤーの声が鋭く響いた。ロイエンタールは一瞬躊躇したが、ミッターマイヤーの瞳に宿る激しい情熱に抗えず、目を閉じて小さく呟いた。
「…欲しい。お前の全てが。」その声は震え、普段の誇り高い彼からは想像もつかないほど切実だった。
その言葉を聞いた瞬間、ミッターマイヤーの自制心が崩れた。彼はロイエンタールの唇を奪い、荒々しくも深いキスを仕掛けた。ロイエンタールは一瞬驚いたように身を硬くしたが、すぐにその熱に飲み込まれ、ミッターマイヤーの肩に手を回して応えた。キスは支配と服従の交錯であり、二人の間に流れる激しい感情の結晶だった。ロイエンタールの唇は柔らかく、普段の冷たい微笑とは裏腹に熱を帯びていた。
「膝をついて、俺に仕えろ。」ミッターマイヤーが唇を離し、新たなコマンドを下した。ロイエンタールは再び膝を折り、ミッターマイヤーの前に跪いた。その姿は、戦場での高潔な提督とは別人のように従順で、美しかった。ミッターマイヤーはロイエンタールの軍服をさらに剥ぎ取り、白い肌を完全に露わにした。その美しさは息を呑むほどで、まるで神話の彫像が命を吹き込まれたかのようだった。
「まだ終わらない。これからお前を徹底的に俺のものだと刻み込む。」ミッターマイヤーの声が低く響いた。ロイエンタールは抵抗せず、ただミッターマイヤーの動きに身を委ねた。部屋の中には二人の息遣いだけが響き、時間さえも停止したかのような静寂が広がった。
「俺に触れろ。そして俺を感じろ。」ミッターマイヤーのコマンドに従い、ロイエンタールは震える手でミッターマイヤーの胸に触れた。その指先は繊細で、普段の冷酷な提督とは思えないほど優しかった。ミッターマイヤーはロイエンタールを床に押し倒し、その上に覆い被さった。彼の手がロイエンタールの身体を這い、熱い痕跡を残していく。ロイエンタールは目を閉じ、ミッターマイヤーの動きに合わせて微かに身を震わせた。その姿はあまりにも美しく、普段の誇り高い彼とのギャップがミッターマイヤーの欲望をさらに煽った。
「お前がこんな風に俺に屈するなんて…想像以上に美しい。」ミッターマイヤーの声は低く、満足と欲望が混じり合っていた。彼の手がロイエンタールの腰を掴み、さらに深く二人の距離を詰める。ロイエンタールは喉の奥で呻き、ミッターマイヤーの名を呼び続けた。
「ウォルフガング…もっと…」その声は切なく、普段の冷徹な提督の仮面が完全に剥がれ落ちていた。ミッターマイヤーはその願いに応えるように、さらに激しく、深く彼を支配していった。ロイエンタールの美しさは、屈服するたびに増し、まるで彼のSUBとしての本質が開花するかのようだった。
二人の間には言葉を超えた繋がりが生まれ、それは戦場での信頼や友情を超えた、純粋な情熱の形だった。ミッターマイヤーのDOMとしての力と、ロイエンタールのSUBとしての受容が交錯し、互いを高め合う。部屋の中は熱と吐息で満たされ、二人はその中で完全に一つになった。
やがて、激しい嵐が過ぎ去ったように静寂が戻った。ミッターマイヤーはロイエンタールを腕に抱き、乱れた黒髪を優しく撫でた。ロイエンタールは目を閉じたまま、ミッターマイヤーの胸に寄り添う。その姿は、まるで全てを委ねた子猫のようで、普段の誇り高い提督の面影はどこにもなかった。だが、その美しさは失われるどころか、ミッターマイヤーの腕の中でさらに輝きを増していた。
「お前は俺のものだ、ロイエンタール。永遠に。」ミッターマイヤーの声は穏やかだったが、そこには揺るぎない確信があった。ロイエンタールは小さく笑い、掠れた声で答えた。
「…お前がそう言うなら…ウォルフガング。」
二人の間には、戦場では決して見られない静かな絆が生まれていた。それは支配と服従を超えた、深い信頼の証だった。ロイエンタールの美しさは、ミッターマイヤーの前でだけ許された形で輝き続け、二人は互いの存在に全てを預けた。