パーティ会場は、シャンデリアの光がきらめき、華やかな笑い声とグラスの音で満たされていた。ヴォルフガング・ミッターマイヤーは、ジークフリード・キルヒアイスに連れられてその場に足を踏み入れた瞬間、まるで別世界に迷い込んだような感覚に襲われた。スーツやドレスに身を包んだ人々が優雅に談笑し、作り物めいた空気が漂う中、彼の視線はある一点に吸い寄せられた。
オスカー・フォン・ロイエンタール。財閥の総帥として名を馳せる男は、息をのむような美貌の持ち主だった。黒にも見えるダークブラウンの長髪は、腰まで届くほど長く、白いリボンで一つに結ばれ、背中に流れる様はまるで夜の滝のようだった。長い睫毛はどんな美女も霞むほどに優雅で、青と黒の金銀妖瞳が鋭くも妖艶な光を放っていた。スーツに包まれた体つきは、華奢に見える顔立ちとは裏腹に、しっかりと鍛えられた男性的な輪郭を保ち、そのコントラストが彼を一層際立たせていた。
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