キャンバスあの日夢見た未来とは違うけれど、それでも受け止めて生きていくと決めた。
『ごめん今日行けない』
メッセージアプリで届いた言葉を見て、深津はため息をついた。またか。もう何度目だ。
『なんで』
それだけ送るとすぐに既読がつく。
『尊敬する先輩の飲み会に呼ばれた』
なんだ尊敬する先輩って、お前にとってのそのポジションは俺じゃなかったのか。
そんな言葉が頭を駆け巡ったけれど、深津の指がそれを文字にすることはなかった。胸の辺りにどろりとした感触がする。グッと吐き気を堪えてスマホを伏せた。
深津は一度消したテレビをつけた。夕方のニュースが再び流れる。家を出る必要がなくなったから、羽織ったばかりの上着も脱ぐ。ソファに置いていたバッグを床に乱雑に放り投げて息をつく。メッセージアプリで『分かった』とだけ送り、そのままソファで横になった。
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