21gの絵本「知っておったか。魂の重さとやらは21gらしい」
唐突に、スノウ様が俺を振り仰いでそう言った。今日はホワイト様とは別々に過ごす日らしく、寂しいからと半ば無理やりお茶会に誘われ、魔法舎からほど近い野原でお喋りに興じていたが、いつの間にか同席していた子供たちは川遊びに夢中だ。夏にぴったりの微笑ましい光景を横目に木陰で涼んでいる俺たちの足元には猫。南の国に比べれば湿度も低く、風もそよいで眠たくなるような穏やかさと倦怠感。テーブルの上に山ほどあった菓子もオーエンが強奪していったし、お開きの空気を感じて食器類を片付けながら向かいに目を向ける。
「誰に聞いたんですか」
「シャイロックが言っておった。人間は死後、21g軽くなるそうじゃ。それが魂の重さだと」
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