このクソみたいな世界に祝福を 面倒くせえ面倒くせえ何もかもが面倒くせえ。
元々生に執着なんかない、どころか、生まれてこなくても良かったんじゃねぇかな、とすら思ってるくらいなんだ。
だからこの仕事にも就いた。
いつどうなってもおかしくないこの仕事に。
だから──
作戦の穴を突かれた結果、吸血鬼の牙が眼前に迫っても──
ま、いっか
と、思った。
楽しいことなんかありゃしない、あったところで次に出くわすクソみてぇな出来事で帳消しどころかイコールマイナス、な、この世と大手を振っておさらばできる。殉職という大義名分のお陰でね、なんて──
少し前までの僕ならば、諦めていたんだ、ろうな!
吸血鬼の牙が頸動脈に刺さるより数瞬早くその眼球に親指の爪を突き立てて抉ってやった。
1886