リューナイトのSS 下書きくらいだけど ガルデンの独白の話(アニメ版)胸を貫かれ、真っ逆さまに落ちて行く。
修羅場には慣れすぎた身だが、これで終わるのか、と思った時が、1度目だった。
彼奴が、私に、手を伸ばしたのは。
それから、彼奴は敵である私に手当だの、説教じみた言葉だのを゙寄越してきた。
「じゃぁ、お前はどうして覇王を目指すんだよ」
言われた瞬間、胸の中にある宝石が、砕け散るような気分がした。
それから、また一夜明けて。
やつはまた手を伸ばしてきた。
共にアースティアを守ろう、と。
おまけに仲間の忍者から私を庇い、仕舞には囮になるから私にドゥームを落とせ、とまで言ってきた。
敵である私を、なぜこうも信頼するのか。分からなかった。
だから、手を伸ばせなかった。
自分が分からなかった。
昼なのに、腹の中は暗闇を歩いている気分だった。
シュテルごと乗っ取られた時も、彼奴は最後まで諦めなかった。
だから、負けたくなかった。私を駒にしようとした奴に一矢報いてやりたかった。
精霊石をあの忍びに返した。
あの邪竜族も倒すことができた。
だから、悔いはなかったと思う。
ただ、腹が立つほどに頑丈なこの体は死ぬことを許してくれなかった。
機械の国の白い龍にまた同じことを聞かれた。
お前は、何のために戦うのか?と。
その時に、自分の中に、灯りが灯った気がした。
「借りを返したい。」
正義のためだ、なんて言わない。贖罪のためだ、なんていえない。
この灯をともした人間としての自分の半分が、戦え、と叫んでいる。
自分を駒として扱った、あの連中に一矢報いたい、と叫んでいる。
その叫びに従ってやろうじゃないか。誰に言われるわけでもない、自分の意志で。
さんざん手を伸ばしてきたのだ。一回くらいいいだろう。
片膝をついたアイツの前に立って、今度は、こちらから手を伸ばしてやる。
「音速の騎士の名が泣くぞ。」