冷たい手足と青い世界息を吐いて、体を沈めていく。
目を開くと一面の青い世界。
一面の青い世界を色の群れが泳いでいく。
あの黄色い魚はなんと呼ぶのだろう。
あの青い魚はなんと言う名前だったろう。
あぁ。もっとたくさん調べておくべきだったか。
その夜、夢をみた。
火星基地の中。
見慣れた顔が自分の座っている横に腰掛けていた。
これが夢で、都合のいい自分の解釈だと言うのは分かっていた。けれど、無性に嬉しかった。
『アイン。海は、どうだった?』
『え、あの』
『海は、どうだった?楽しかったか?綺麗だっただろう?』
俺は、涙をこらえながら、必死に口を開いて、精一杯のぎこちない笑顔をして、答えた。
『はい。とても美しくて、とても青かったです。』