水母の骨 啓護くんとはゆらゆらと揺れるように、離れては近づき、近づいては離れていた。
約束をするわけではないけれど、感覚が近いのか、人肌恋しく思う頃に連絡が来ては、会うのを繰り返す。それが良いか悪いかは、個人の自由だろう。彼がどう思っているかは分からないが。
その日も、外で食事を済ませ、私の家でソファに並び、ゆっくりと映画を観ていた。
「しばらく忙しいので、会えません」
エンドロールの途中で、啓護くんはそう言った。
「コンサートツアーですか?」
「ええ、まあ」
「期間は?」
「三ヶ月ほどを予定しています」
「三ヶ月……長いですね」
ほろりと溢れた言葉を、物憂げなため息が追う。
「まさか、さみしいとか言うんじゃないでしょうね」
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