「おろ、それこの前のパチモンじゃないですか」
のんびりとした声をあげたレオに、スティーブンとチェインが少し恨みがましい目でレオの方を見た。
「なんだって、少年。もう一度言ってくれないか」
スティーブンが意識して、和やかな笑みを向けてやると、レオが小さく悲鳴をあげる。そのやりとりを見て、チェインは少し溜飲を下げる。二人が話していたのは、今一番の頭痛のタネ。スポンサー直々の持ち込み案件、ラブコットンスプレー。吹けば飛ぶほどのお手軽さで、歌って踊り出すような恋愛体験を。いかにも商業主義的なキャッチコピーの実態は、廃人メーカー。恋の奴隷、と言えば聞こえは良いが、使用された対象は惚れた相手のお気に召すままに。おかげで、来HL入りしたドラ息子があっという間にマフィアの娘に恋の虜へと変化した。この街らしく、そこからさらに七転八倒、多額の資産と共に、ライブラにお偉いさんが泣きついてきたのだった。
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