【実を付ける】唯、アイツが好きな物を作ってやりたいと言う本当にそれだけの理由だった。
世の農家さん達が苦労している物を生半可な気持ちで作ろうなんて思ってはいない。
それでも俺はソレが良かった。
環境や土地、気候で育たない物は多い。
でも出来れば自宅になるべく近くで育って欲しくて農家をするご近所に無理を言って育て方を教えてもらった。
木が上手く育つかどうかもわからず、木が育っても実がちゃんと着くかもわからず、手探りでの作業はそれはそれは時間がかかってしまった。
出来ないなら出来ないでいいと思っていたが、アイツが喜ぶ顔が見たくて諦めきれずに失敗を繰り返しながらもう何年目かの初夏。
やっと十分な実が着き、これで俺の夢の一つも達成出来たと言えよう。
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