本当にそんなつもりじゃないんだって!!「ヴォックス!?どうしたのその腕」
「あぁ、多分シュウの同業者だろうな。俺を見て直ぐに正体に気づいたみたいだった。避けきったと思ったんだが油断したな」
ヴォックスが帰ってきてから異様な気配にはすぐに気がついた。
あのヴォックスが額に脂汗を滲ませている。腕をきつく抑えていて、足取りも覚束なかったためゆっくりと椅子まで移動させた。
「少し見るから、痛かったら言ってね」
「分かった」
ゆっくりと袖を捲ると明らかに呪術の類で撃ち込まれた針が刺さっていて取り出そうにも深い所まで進行している。ヴォックスにここまで強い呪いをかけられるのは相当強い呪術師のものかもしれない。
「治せそうか?」
「う、ん、できないことはないと思うんだけど……」
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