余命幾許お花屋店員さん現パロ/モブ极街を歩いているとふと、ふわりと甘い香りが漂ってきた。
近くの花屋から流れてくる香りだったようだ。そういえばこんな店があったような。別に花なんて好きなわけでもないのに相当疲弊していた俺はその日何故か引き寄せられるようにその花屋に立ち寄ってしまった。
色鮮やかな花達と優しい香りに包まれ、自然と日々の疲れが癒やされていくのを感じる。
ああ、意外にもこういうのも悪くないものなんだな。
「やあ、どんな花をお探しかな?」
斜め上から降ってきた初対面とは思えない馴れ馴れしい声に一瞬で俺の背筋は凍りついた。俺よりも頭一つ大きい影が後ろから迫ってくる気配に一気に全身から汗が吹き出す。逃げる勇気などあるはずもなく、恐る恐る後ろを振り向くとそこにいたのはまるで漫画の世界から出てきたかのように華やかな長身の美男子だった。
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