「男二人でよく寝れるよな」 その日も夢見が悪かった。
眠りについたのも束の間、ディノは勢いよく布団を剥がし、飛び起きる。冷や汗を滲ませ、荒い息を沈めるために深く呼吸をした。
肩を上下させながら隣のスペースを見るが、人の気配は無い。スマートフォンを立ち上げ、表示された時間は深夜零時を大幅に過ぎていた。
今晩、キースは遅くまで飲みに出かけているため、まだ帰っていない。
ディノは静まり返った部屋の中で、寂しさでどうにかなってしまいそうだった。
気付けば部屋を飛び出して、タワー内を歩いていた。所々明かりが灯っている部屋はあるが、昼間と比べれば一層閑散とした雰囲気がある。先程見た夢と相まって、非現実で、また寂しさと不安感が募っていく。
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