まどか君のはなし(性転換注意)「まどか君のはなし」
あれは確か、瀬名さんがおじいちゃんに師事するようになってから、一年ほど経った頃のことだったと思います。
今となっては庭師の叔母さまくらいですが、当時の屋敷にはまだ住み込みで働いている方が何名かいて、その中でも一等若い瀬名さんは、出掛けて行くたび僕の恰好の遊び相手になってくれました。
一緒にお庭を駆けたり、秘密基地をつくったり、夜に内緒でお菓子パーティをした事もあります。
とびきりおめかしをして、大人に見つからないように声をひそめてかわす他愛もないお話。お行儀悪くシーツの上で齧ったクッキーは、それはもう格別の味がしたものです。
今でこそ、お姉さんには少し退屈な遊びだったろうなと想像もつきますが、あの頃の僕は瀬名さんと一緒に遊ぶ事がただただ楽しく、また瀬名さんもそうであろうと思っていました。
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