JOB CHANGE CRISISJOB CHANGE CRISIS
木製の大きな扉の前、すっかり慣れた様子でノックを二つ。きっとすぐに中から声がかかるので、ひんやりとしたドアノブをつかんでひねる。
「……どうぞ」
何度目かは忘れたが、この部屋の主とする話は決まっていた。
「お呼び立てしてごめんなさいね。毎年恒例のアレなのだけれど……涼川さん、貴方スターライトで担任持ってみない?」
なんて、また断られちゃうのかしらと、笑いながら織姫学園長は言った。
***
姉貴からスターライトの仕事を紹介された当時、応募資格の欄には「同業者・男性」とだけ書いてあった。
そのころにはバンドの活動もまあまあ軌道に乗っていて、特に職を探しているわけでもなかったので、その怪しげな仕事を受ける必要は俺には一切なかった。
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