それは歴史の中に埋もれていった、ありふれた話 隣村に一揆の、謀反の疑いがかかったんが始まりじゃった。
あそこの領主様は元々は好いお人でなぁ。無理な年貢の取り立てはせんし、何ぞ困ってることはないかと、いつも声をかけてくれるような出来た方じゃったんが、一昨年の暮に流行り病でぽっくり逝ってしまってなぁ。
跡を継いだのがぼんくらのドラ息子だったんがよくなかった。
種蒔きや収穫の頃に普請をする言うて男手を取ろうとするわ、年貢が足らんと言うてはあれこれ取り立てようとするわ、あまりにも無茶を言われる。
いくら今までが良くても……いや、今までが良かったからこそ、反発は大きくなるもんじゃろう。
あっという間に関係が悪くなっちまってなぁ。そこに誰ぞ、要らん事を吹き込んだ奴がおったのか、とうとう村一つ取り潰すところまでいっちまった。
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