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    Tyon。

    五悠を書いています。
    誰かに刺されば嬉しいです!

    @yon_472

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    Tyon。

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    五悠です。

    平和な世界の付き合ってる五悠です。
    先生の出張で会えていない2人が「会いたい」と思うお話です。

    都度、視点が切り替わりますので、ご了承ください。

    上着side 悠仁

     五条先生が出張中だから、今日も学校は早く終わる。
     自室に戻って着替えをしながら、この後の時間をどう過ごすか悩んでいた。釘崎は早々に出掛けて行ったし、付いて行くと荷物持ちになりかね無い。伏黒に声をかけたが、姉さんの見舞いに行くからと断られてしまった。
     学ランを脱いで、ベッドへ放った。箪笥から、パーカーを取り出して袖を通す。スラックもジーンズに履き替えて、着替えは完了だ。
     今日もパチンコかな。確か、新台入るって言ってたかも。そんなことを考えながら、ベッドに放った制服をそのままに部屋を出た。




    ◻︎◻︎◻︎

    side 五条

     長かった出張もやっと終わった。今日の任務を早々に片付け、お気に入りのご当地スイーツを手に、心も脚も弾ませながら、可愛い恋人の部屋を訪れた。
     部屋の扉をノックして、中からの返事を待つ前に扉を開けて、恋人の名前を呼ぶ。

    「ゆーじ」

     しかし、可愛い恋人の姿はなかった。

    「悠仁、いないのか。せっかくお土産一緒に食べようと思ったのに」

     小言をこぼしながら、ベッドへ腰を下ろした。
     僕の出張中で、授業が短縮したことは伊地知から連絡をもらっていた。ここに来るまでに生徒たちの気配はなかったし、悠仁も出かけたのかと肩を落とした。
     恋人にサプライズで登場するときは、タイミングを考えないとダメだな。こんな風に待つなら、一報入れれば良かった。
     でも『わっ!びっくりしたー!先生早かったね!』と驚く顔が見たかったんだ。しょうがない。
     ふうーっと後ろ手を付くと、手に布団ではない布が触れた。悠仁の制服だ。
     僕が、カスタムした学ラン。
     これを考えたときは、僕たちが恋人になるなって想像もしていなかった。
     それが今では、少し離れただけで会いたくなるし始末。
     僕をこんなにさせるなんて、悠仁には敵わないよ。
     制服を握りしめ顔へ近づけた。
     まだ温かい布からは、悠仁の香りがする。寮の洗濯場は共同スペースで、洗剤も野薔薇を除けば皆同じはず。それなのに、この布からは特別な悠仁だけの匂いがする。
     肺の奥まで香りを吸い込んだ。

    (あぁ…好きな子の匂いだ…)

     自分の上着を脱いで、土産と一緒に彼の机に置く。僕は彼の服を抱きしめながら、膨らんだ熱をどうしようか考えた。
     最後にしたのはいつだったろう。確か、出張直前に会いに来たんだった。結局、任務は伊地知に怒られるくらい遅刻したけど。
     このベットで何度、あの子を抱いたことか。
     悠仁を初めて抱いた時、年甲斐もなくがっついてしまって、自分にもこんな感情があるのだと気づいた。
     その時の彼を思い出して、今にも彼の制服でどうにかしてしまいそうだ。
     本当に。僕はいつから、こんなになったんだろうね。

     ブーッブーッブーッ

     急にスマホが鳴り始めた。画面を覗くと【伊地知潔高】の文字。
     こんなん見たら一気に冷める。イライラする気持ちを抑えて電話に出る。

    「はーい」
    『五条さん!!どこにいらっしゃるんですか?!会議に遅刻ですよ!もう30分も遅刻してます!』
    「うっさ…そんくらいいだろう。いつものことなんだし」
    『おかしいじゃないですか?!間に合うように帰ってきましたよね?!何してたんですか?!』
    「えー…それ聞く?可愛い恋人に会いに来ただけだけどー」

     会えなかったけど。
     それを聞いた伊地知は、言葉を詰まらせ、深いため息を吐いた。

    『......とりあえず、今すぐ来てくださいね。皆さんお待ちですから…!』

     そう言うと、一方的に通話は切られた。
     会議…そんな予定あったなと思い出す。
     悠仁の制服をハンガーにかけ、彼の部屋を後にした。




    ◻︎◻︎◻︎

    side 悠仁


    「今日はだいぶ負けたな」

     辺りはすっかり陽が落ちている。
     パチンコして、ラーメン食べて、一人で帰路についている時、急に寂しくなった。
     俺って今まで一人の時どう過ごしてたんだっけ。
     地元にいた時は、爺ちゃんもいたし、学校帰りは友達とカラオケとか行ってたな。こっちに来てからは、放課後は稽古したり、地下室で映画を見たり。任務もだいたい一年全員で行く。
     休みの日は…五条先生と一緒。
     思い返すとあまり一人になることが無かった。

     先生を好きになったきっかけは、なんだったかな。
     助けてもらって、世話してもらって、指導もしてもらって。一緒にいる時間が楽しくて、嬉しくて。それで、気づい時には好きになってた。
     気持ちに気づいてからの稽古が、急に恥ずかしくなって、そしたらすぐ先生にバレたんだった。

    『僕も好きなんだよね。付き合っちゃおうか。皆んなには、まだ内緒だよ』

     先生からそう言われたときは、今まで味わったことがないほどの幸福感で満たされた。
     皆んなに秘密にすんのも、なんだか不思議な感情が湧いてきて、良いなと思った。
     最初は、軽薄すぎると不安になったけど、多忙なはずなのに都合を付けて俺との時間を作ってくれ る。
     それが嬉しくて、俺もつい、煩く鳴る先生のスマホを無視したりした。
     こんな風に思い返していると、より一層寂しさが増す。

    「あー!早く風呂入って寝よ!」

     寮へ向かう足を早めた。

     部屋について、電気をつける。すると出かける前とは様子が違っていた。
     脱いだまま放置した制服はハンガーに吊るされているし、ベッドの皺も整っている。そして机には、紙袋が置かれ、椅子には黒い布はかけられていた。

    「先生、もしかして出張から帰ってきてすぐ寄ってくれたんかな?」

     椅子にかけられた、黒い布は先生の上着だ。それを手にとって抱きしめた。

    (…五条先生の匂いだ)

     いつも抱きしめてんのに、いつもすぐ欲しくなる。全部包み込んでくれる先生が好きだ。
     
    「あぁ…会いたい」



    ◻︎◻︎◻︎


    side 五条


    「会議、お疲れ様でした。ところで、上着どうされたんですか?」

     会議が終わって自宅へ送られる車中、伊地知に言われて気が付いた。僕、上着着てないじゃん。

    「あーたぶん、あそこだわ。あの子の部屋に置いてきたんだ」
    「…そうですか。お送りしましょうか…?」

     伊地知は罰が悪そうに聞いてくる。

    「いや…いいよ。ここで止めて。自分で行く」
    「え?!本当にここでいいんですか?」
    「いいよ。早く止めて」

     流石に行き先が学生寮なのは、バレたらまずいからな。
     伊地知と別れ、悠仁の部屋に飛んだ。
     こんな時間だし、もう寝てるかも。扉に手を掛けると鍵は開いていた。
     薄暗い部屋の中を覗くと、ベッドの上では可愛い恋人が寝ている。

    「ゆうじ…」

     寝顔が見たくて近づくと、彼は僕の上着を抱きしめて眠っていた。
     こんなのを見たら、抑えられなくなる…

    (明日も学校だし、でも遅刻させないようにすれば大丈夫か)

     寝ている子を起こすのはかわいそうだけど、悠仁の頬に手を添える。

    「んん…」
    「ゆうじ…」

    重い瞼を開けて、黄色い瞳が僕を探す。

    「せんせ…」
    「うん。会いたくなってさ」

     唇にキスを落として、いつもの様に誘うと悠仁は微笑んでくれる。
     久しぶりの悠仁…今すぐにでも食べてしまいたくなる。再びキスをするが、深いキスは途中で終わってしまった。

    「今日はせんよ。たまにはこういうのも良くない?」

     ぎゅっと抱きしめられて頬を寄せられたら、それ以上手を出せなくなる。
     いつの間にか悠仁に主導権を握られたてたみたい。
     彼の横に自分の体を並べ、柔らかい髪を撫でると胸の奥が温かくなる。
     悠仁はさらに両腕に力を込めて抱きしめてくれる。

    「本当だ。たまには、こういうのも悪くないね」

     今日はよく眠れそう。

    「先生と付き合い始め時のこと思い出してた」
    「僕もだよ」
    「こんな最強な先生が恋人って、俺、最強かもーって」

     はにかむ悠仁に、キスをする。
     暖かい。今日はよく眠れそうだ。

    「せんせ…」

     きゅっと溶けた声で呼ばれ、聞き返す。

    「やっぱ、したくなってきた」

     顔を赤くして、僕に顔を埋める悠仁。
     愛おしすぎて堪らなく強く抱きしめる。
     奥から熱が込み上げてくる。

    「僕もだよ」

     今夜は寝かせてあげられないかも。
     明日は一緒に遅刻かな。

     彼に、深く口づけた。
     
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