【フベラファ】君と往く血の道 僕は死ぬ。この月明かりに見守られながら、僕の肉体は終わりを迎え、明日には火に燃やされて、その痕跡すら無くなる。来る復活の日のための肉体が無くなり、魂は地獄に至る。C教によれば。
僕は死ぬ。まもなく毒が全身に周り、弛緩して、呼吸ができなくなる。体は冷たくなって、糞尿を垂れ流す。最初に牢に来るのはノヴァクというあの異端審問官だろうか。彼が僕の死体を運ぶだろう。
僕は死ぬ。その知らせはポトツキさんにも行くだろう。ポトツキさんはどう思うだろうか。きっと驚愕し失望するだろう。
僕は牢にあるたった一つのくり抜かれた穴を見る。そこからは空が見えた。
この世界は、僕には生きるのが楽勝なはずだった。
笑顔で誰にでも明るく振る舞い、求められたことを学び、発言していれば、僕はどこへでも行けたし何でもできたはずだった。それは孤児としてこの世界に放り出された僕が生き抜くたった一つの正解で、これが正しい道のはずだった。
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