暑、熱「今年の璃月の冬は例年に比べて冷え込むようだからな。今日は香菱に体が温まる料理を頼んでおいた」
「へぇ、それは楽しみだね。でも絶雲の唐辛子がたっぷり入ってないといいんだけど……」
――香辛料の辛みにピリピリと舌の上を刺激されながら、会話を弾ませている時も。
「寒さ対策に寝具を新調してみたんだ。少々値が張るのだが、稲妻から仕入れたこの羽毛布団が特に上質で……」
「知ってるよ。41万と8千モラだろ? 俺の執務室の机に請求書が置いてあったからね」
――恋人の自宅に招かれて、真っ白でふかふかの新しい布団に包まれながら眠りに就くまでの間も。
「ん……うぅっ……」
そして、今夜何度目かになる目覚めにうめく現在も。恋人との久しぶりの逢瀬の間、タルタリヤは心の片隅にある問題を抱え続けていた。
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