Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    おかか

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🐳 🔶 💒 💗
    POIPOI 17

    おかか

    ☆quiet follow

    2023年書き納めタル鍾。

    #タル鍾
    gongzhong

    暑、熱「今年の璃月の冬は例年に比べて冷え込むようだからな。今日は香菱に体が温まる料理を頼んでおいた」
    「へぇ、それは楽しみだね。でも絶雲の唐辛子がたっぷり入ってないといいんだけど……」
     ――香辛料の辛みにピリピリと舌の上を刺激されながら、会話を弾ませている時も。
    「寒さ対策に寝具を新調してみたんだ。少々値が張るのだが、稲妻から仕入れたこの羽毛布団が特に上質で……」
    「知ってるよ。41万と8千モラだろ? 俺の執務室の机に請求書が置いてあったからね」
     ――恋人の自宅に招かれて、真っ白でふかふかの新しい布団に包まれながら眠りに就くまでの間も。
    「ん……うぅっ……」
     そして、今夜何度目かになる目覚めにうめく現在も。恋人との久しぶりの逢瀬の間、タルタリヤは心の片隅にある問題を抱え続けていた。
     まるで熱い湯でのぼせたような感覚に耐えきれず、決して口にはするまいとしていた言葉を、こっそりと胸の内で吐き出す。
     暑っつい……。
     鍾離の言った通り、今年の璃月の寒さは特別なのだろう。璃月港ですれ違う住民たちは、誰もかれもが防寒具を幾重にも身に着けて辛そうに吐く息を白くしていた。だが氷雪に覆われたタルタリヤの故郷の寒さには遠く及ばない。むしろようやく過ごしやすい気温になったなと喜ばしく感じるくらいで、スネージナヤ出身と思しき者たちは皆一様にいきいきとしているように見えた。
     だというのに、食事によって体を内側からあたためられ、さらにその熱を閉じ込めるように布団を被せられてしまえば、こうしてのぼせてしまうのも無理はない。
    「はぁ……」
     自分の側だけ布団を剥いでしまおうか。ため息を吐きながら、シーツのあたたまっていない場所を探して足を動かす。すると足先が人肌ほどのぬくもりにぶつかった。求めていた温度ではない。だが吸いつくような滑らかな肌触りが気持ちよく、絡ませるように足を伸ばしていく。
     タルタリヤの足を挟む硬い感触は、上に向かうほど弾力が増している。ぴたりと閉じたそこを割り開き、生じた隙間に肌を擦りつける。いくら刺激しても咎められないことに気を大きくしてさらに上へ。じりじりと這うように進み、柔らかな行き止まりに触れた直後。ぎゅうっ、と痛いくらいに足を圧迫されて動きを封じられた。
    「……公子殿」
    「いたたっ……ん? なぁに?」
     とぼけたように返事をするタルタリヤを、至近距離で光る横向きの双眸がじろりと睨む。
    「何のつもりだ」
    「先生こそ。起きてたなら止めればいいのに、どういうつもり?」
     寝起きの気怠い甘さと、不埒な行いへの抗議の鋭さを混ぜ合わせた声にそう反撃する。しなやかな筋肉をまとった足も。黄金を奥に隠した瞼も。若造のイタズラにはぴくりとも反応を示さなかった恋人が狸寝入りをしていることには、膝を通り過ぎて内腿を撫でたあたりでタルタリヤはすでに気付いていた。
    「仮にも寝ている相手に、ここまでするとは思わないだろう」
    「そう? 俺はてっきり許してくれてるか……」
    「おい……ん、っ……」
    「誘われてるのかと思ったんだけど」
     拘束を振りほどいて、先ほど捉え損ねた行き止まり――、鍾離のまたぐらをぐいっと押し上げてやった。布団の中でまっすぐに伸びていた背中がくんっとしなり、喉が甘く色付いた音を鳴らす。常識的なことを言っていても学習を繰り返した体は、いとも容易くタルタリヤが思う通りの反応を返すのだ。
     今夜は新調したばかりの寝具を汚すようなことはせず、床に就くまではいっそ驚くほどに健全であった。体だけが目的の逢瀬ではない。とはいえ率直に言えば少し、いや、かなり期待をしていたのだ。だって仕方がないじゃないか。相手は大陸随一のご長寿だけど、こっちはさ、ほら。まだ、若いんだし。
    「違うならはっきり言ってくれていいよ」
    「ッ……その前に、足を動かすのを、っ……やめろ」
    「うん。答えてくれたらやめるよ」
    「っふ、ぅ……」
     みるみる膨らんでいく欲の象徴は、タルタリヤの足に当たってもう誤魔化しようがない。しなりがきつくなる背を抱き寄せると、鍾離の唇から漏れる吐息が直接タルタリヤの耳に吹き込まれる。暑くて、熱くて。それを鍾離にもうつして、ふたりでこの熱を解消しない限り、眠れないようにしてしまう。
    「教えて? 鍾離先生」
     ――しばしの攻防の後。何十万モラもする新品の羽毛布団は本来の役目を失い、冷たい床へと落ちていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤❤❤❤❤💖💖💖💖😍😍😍💞💞💘😍😍😍☺👏👏👏💖💴🍌🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works