楽しそうな遥の顔を見るたびに気持ちが落ち着かなくなる。遥が自分から離れていってしまうような、そんな感覚に陥る。
「ついてこなきゃよかったなぁ」
遥がほかのバンドのギター連中と海に行くというから、置いてけぼりにされるのが嫌で、無理矢理ついてきた。でも、ついてきたところで結局置いてけぼりで、来るんじゃなかったなと思ってしまう。
五稜や美園と話しながら、遥が笑っている。椿はマイペースだから、数歩離れたところにいる。対して自分は、そこからだいぶ離れたところでしゃがみ込んで、そんな遥を見ている。
「遥、こっちに来てよ」
呟いた言葉は燦めく太陽に吸い込まれて消えていった。