「というわけでさぁ、よろしく頼むよ」
「いや、頼むって言われても……丹恒、どう思う?」
「……少し考えさせてくれ」
そう言って頭痛を堪えるように頭を抱えた丹恒を見て、穹は苦笑いを浮かべる。丹恒が即答できずに悩むのも無理はなく、アベンチュリンから言い渡された依頼は二つ返事で了承するにはハードルが高かった。
──半システム時間前──
ウェディングドレスを着てモデルになってほしい──煌びやかな衣装に身を包んだギャンブラーは、にこやかな笑顔を貼り付けて丹恒の肩を叩いた。常に平常心を崩さない丹恒も、これには「は?」と素で声が漏れ出てしまったようだ。横で見ていた穹にいたっては、アベンチュリンと丹恒を首が振り切れんばかりの勢いで交互に見遣っている。
1980