盗み見た幸福「あ、あの、これ書類です……」
「どうも、そこへ置いておきなさい」
「は、はい!」
こちらをチラリと見た萌葱色は、そのまま書類へと戻っていく。
妙な緊張感に責められているような気がしてしまう。そそくさとデスクに戻り、ふぅ、と息を吐いた。
「怖ぁ……」
「そう? 寡黙なイケメン、眼福じゃない」
「寡黙すぎますよ……にこりともしないじゃないですか」
同僚は軽く言ってくれる。
苦手な上司に聞こえないよう、小声でやり取りをしているが……聞こえているのではと不安になった。
「でも、怒鳴ったりしないでしょ?」
「それはそうですけど、あの冷ややかな目で見られると……心臓がギュッてなります」
柔らかな緑色なのに、冷たい視線。
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