夜の任務後のチャイヌとクロノ通常任務を終えたチャイヌとクロノ。気付けば辺りは暗く、夜になっていた。
スマホン「2人ともお疲れ様です! それにしてもだいぶ暗くなってしまいましたね、そろそろ帰りましょうか」
ふと空を見上げるクロノ、何かに気づく。
クロノ「ちょっとみんな、空を見てくれ」
クロノに言われて、みんなで夜空を見上げる。
そこには、綺麗な満月が浮かんでいた。
チャイヌ「わぁ…」
思わず笑みが漏れる一同。
クロノ「月が綺麗ですね」
突然そう言っては無邪気に笑うクロノを見て、チャイヌは少し驚いたように目を見開き、そしてすぐに目を伏せて、小さくぼそりとつぶやいた。
チャイヌ「……死んでもいいわ」
クロノ「えっ?」
チャイヌ「い、いや…! 何でもないです!!」
焦って弁解するように身体の前で手を振る。その頬は少し赤らんでいた。
深呼吸して少し落ち着いてから静かに口を開くチャイヌ。
チャイヌ「わたし、クロノ君は……少し、月に似てるなと思うんです」
クロノ「え? おれが…月に?似てる?」
ピンとこない様子で首を傾げるクロノ。それを見てチャイヌはふふっと微笑んだ。
チャイヌ「今のわたしにはまだ…太陽の光は眩しすぎるけれど、クロノ君の側にいるとなんだか安心するんです。
まるで、夜の暗闇の中で彷徨う人たちを優しく照らして導いてくれる、真夜中の月の光のようで…
わたしはずっと深い暗闇の中にいて、混ざり合って……周りのことも、自分のことも、何も見えていなかった。
そんなわたしも、クロノ君のおかげでやっと自分自身と向き合う勇気が持てた。
正直なところ、今でもやっぱり……ずっと、怖い。
自分自身の罪や運命と向き合う事が。
この世界に存在しても良いのか…曖昧なわたしが、
どうなるのかわからない未来が、
でも、どんなに怖くても…もう逃げずに頑張るって決めたので。
見ていてほしい。
「クロノくん。
もし…もしわたしが、この世界から消えて何もかも無くなってしまったとしても、君だけは…わたしたちの事を覚えていてくれたら、嬉しいな」
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スマホン「クロノさんが月に似てるって話…ぼくも、何となく分かる気がします」
月は自分だけでは光れない。太陽の光を受けて輝き、暗い夜を静かに照らす。
クロノ「もし、おれが月なのなら…おれにとっての太陽は、きっと……」
クロノの脳裏に浮かぶのは、いつかのトキネの姿、その笑顔。