タオルケットと秋の訪れ 俺は疲れ切っていた。
ここのところずっと手こずっていた案件にようやく目処がついたと思ったら、今日に限って別案件のトラブルが舞い込んできた。なぜこんな日にとイライラが募っても、不可抗力で発生したものだから、恨む先すら見当たらない。
ふらふらになりながら退社しようとドアを開けると、びゅうっと冷たい風が吹き込んだ。朝はうっすら汗ばむくらいだったのに……。
朝の日差しの中ワイシャツで来てしまったので、辛うじて会社に置いていた薄手のジャケットを取りに戻って前を閉めた。まだまだ全然寒かった。
「おかえり〜。今日もお疲れ」
半分凍えながら帰った俺を、輝かしい笑顔で出迎えたのは、一緒に住んでいる杉元だ。なんと、まさかの半袖でいやがる……。
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