「感染するとかありえなくね? 他の奴らはともかく俺には無下限あんだし」
五条は無意識に拾った枯れ枝をグラウンドの向こうに思い切り投げつけながら不機嫌に口を尖らせた。
「ただの結核ならね。呪霊が関連してるとなると話は別なんじゃない?」
家入は階段の端のわずかな木影を陣取って紫煙を燻らせている。
梅雨の薄い晴れ間。さすがに蝉はまだ地面から這い出してはいないようだが、雲間からじわじわと照りつける太陽の反射が二人の制服のシャツに微かなしみを作っていた。
午後は体術の時間で仕方なくグラウンドに出てみたものの、この二人では特にやることもない。監督の夜蛾も上層部の呼出しで離席しており、実質休講のようなものだ。
「それにしたって、連絡も取らせないとか横暴だろ。俺だったらとっくに脱走してる」
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