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    ほなや

    腐ってる成人。何とか生きてる。気ままにダラダラしたりゲームしたり。
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    ほなや

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    小説6作目。FCゲーム『スiクiウiェiアiのiトiムi・ソiーiヤ』ディック×トム。
    ※キャラ捏造、年齢操作、現代パロ
    お題は診断メーカーから。

    朝ごはん窓から朝日の光が差し込み、その光がすぅすぅと寝息を立てて眠るトムの傍らのマットレスに吸い込まれていく。瞼越しの目が明るさを察し、ゆっくりと瞼が開かれていった。
    横になっていたトムはそのままゆっくりと起き上がり、身体の上に掛かっていた布団がずれて落ちる音が聞こえた。目を擦り、窓越しの陽の光を浴びながら大きな欠伸をしていると、何処からかいい匂いが漂ってきた。

    「ん…」

    鼻を嗅いでみる。匂いは台所からしてきているようだ。徐々に意識が目覚めていき、トムはベッドから立ち上がり摺り足で台所へと向かっていった。


    台所へ行くと、そこには食事を乗せている皿を両手に持ちテーブルに置こうとしているディックの姿があった。コトリとワンプレートをテーブルに置いた後、トムに気付き首だけを横に向けて微笑んだ。

    「おはよう、トム」

    優しい声が台所に響く。心がより穏やかになるのを感じ、トムはまた目を擦り同様の言葉を返した。

    「はよ〜」
    「後で起こしに行こうと思ってたところなんだ。ちょうど出来上がったとこでさ」

    言った後に、ディックはコーヒーメーカーから保温ポットを取り出し、テーブルに置かれているコップに出来上がったばかりのコーヒーを注いでいく。トムは摺り足でテーブルの方へ向かい、椅子を引いて腰を下ろした。視線を斜め下に向けると、焼きたての食パンのトースト、目玉焼き、カリカリのベーコンがそれぞれのワンプレートに盛られていた。そしてテーブルの真ん中には、サラダボウルに盛られたハッシュドポテト―とそれを囲うように添えられたレタス―が置かれていた。
    湯気の立ったコーヒーが入れられたコップがワンプレートの右斜め上に置かれ、挽きたての芳醇な豆の香りに鼻を擽られる。向かい側に椅子の引く音と座る音が聞こえ、2人は食事をし始めた。

    トムはまず最初にトーストを齧ると、塗られたバターの香りと焼きたてのパンの香ばしい匂いが立ち込めてくる。もう2口ほど齧りパンを置いて他の食べ物に満遍なく手を付けていき、その次にハッシュドポテトを盛ろうとボウルの中にある木材のスプーンを取ろうとした時、ふとあることに気付いて目玉焼きを食べているディックに声を掛けた。

    「なー」
    「ん?」
    「このハッシュドポテト、よく見たら豆が入ってる」
    「うん、この前安売りされてたから買ったんだ。嫌いじゃなかったよね?」
    「あ、うん。あとそれと…」

    トムはスプーンを手に取り豆入りハッシュドポテトをワンプレートに盛り付けながら、もう1つ気になったことを言った。

    「ベーコンがいつもよりちょっと多めのような気も…これも安かったから?」
    「あぁ、それ」

    トムがハッシュドポテトを一口頬張って噛んでいるのを見つめながら、ディックはこう言った。

    「それもあるけど…何処かの誰かさんがまた痩せたから少し増やしてみたんだ」

    途端、トムは口に含んでいるハッシュドポテトを吹き出しそうになったが反射的に口を閉じ、ごくりと飲み込んだ。目を見開いて前を見ると、そこには目を閉じコーヒーを飲んでいるディックの姿があった。それ自体は特におかしなところは無いが、何処か雰囲気が違うというか-圧を感じた。

    「昨日の夜も、隅から隅まで確かめたから間違いじゃないと思ってるよ」

    ディックの言葉に、トムの脳内で段々と昨日の夜の出来事が鮮明になっていき、仄かに顔を紅潮させた。心做しか身体も熱く感じ、それと同時に脳内で焦りも生じ何を言うべきか全く思い付かなかった。ディックは取っ手を持ったままコップを置き、固まっているトムをじっと見つめて言った。

    「どうせ仕事が忙しくって食べるのを疎かにしてたってとこなんだろうけど」
    「あ、う…」

    図星を付かれ、トムは更に言葉を詰まらせた。

    「まぁ僕も忙しかったし、中々様子を見れなかったっていうのもあったからなぁ」
    「…」
    「…怒ってるわけじゃないよ。心配なだけ」

    黙り込んだトムを見て、ディックはふぅ、と息を吐いてそう言った。

    「君は一旦1つのことに集中し出すと他のことがおざなりになるのは知ってる。でも、身体は大事にして欲しい」

    苦笑を浮かべ、真っ直ぐに見つめ何処か真剣な声色で言うディックにトムはすまなそうに眉を下げ視線を泳がせ、そして同時にむず痒くもなった。それを察したのか、ディックは苦笑から徐々に柔らかな笑みへと表情を変えていった。

    「さて、真面目な話はこのくらいにしてご飯食べちゃおっか」

    明るい口調で言葉を掛けられトムははっとなる。気付くとディックはプレートに残っている朝食をまた食べ始めており、それに続くようにトムもフォークを手に取りベーコンを刺し口に入れた。先程食べた時もそうだったが、カリカリの食感に程良い塩加減で更に美味しく感じる。何よりディックが作ってくれたものというのも相俟って、トムはゆっくり噛み締めるように味わった。そして向かいには、それを慈しむような笑みを浮かべて見つめるディックがいた。


    「あーおいしかったー!」
    「それは良かった」
    「久しぶりに美味いもの食べたって実感が湧くなぁ」
    「そうだ、トム」
    「ん?」
    「昼はパスタ系とスープ系どっちがいい?」
    「え、もう昼飯のメニュー決め?…んーと、スープかなぁ」
    「スープね、分かった。何のスープがいい?」
    「えっと…んー、トマト」
    「トマトね、分かった」
    「随分張り切ってるなー」
    「この前ちょうど胸肉が大安売りしてたから、ちょうどそれを入れようと思ってたんだ」
    「胸肉?」
    「嫌いじゃなかったよね?」
    (あ、これって…)
    「…はい」
    「さーて、昼が楽しみだなぁ」
    (これだと、体重戻るのも時間の問題だな)
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