そうして、砂漠の大賢者は偉大な王へとなりました。
めでたしめでたし。
へーっと間抜けな声を出しながらカリムがキラキラした目で絵本を見てる。
この本を選んだのは失敗だった。目が覚めてしまったようだ。折角読み聞かせをしていたのにこれではいつまでも家に帰れない。今日は久々に妹もお役目がないから一緒に星を見ようと約束していたのに。
ジャミルは、この今にもランプを探しに行きそうな真っ白な御主人様の従者だ。
御主人様はわがままだ。毎日3つどころか両手で数えきれないぐらい俺がおねがいを叶えてやってるのにまだ足りないなんて。ごーよくな御主人様には現実を分からせないとなと意地悪な気持ちが湧き上がった。
呪文を唱えてランプの魔神が飛び出すシーンを開いて必死に呪文を覚えようとしているカリムのふわふわな頭を押さえつける。
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