ドタデレラ(オマケ)「ドタデレラ?」
「はい!そうです!」
なんとも不思議な名前を口にして首を傾げるフローラ王に、薄い本のようなものを持っているアバンが嬉しそうに返事をする。
「なんでも……今度、これを絵本にするそうで、挿絵が欲しいそうなんです」
「そうか……それで、どうして君はそんなものを被っているのかな?」
「モデルが私たちなので、撮影したいそうなんです!」
キラキラと輝くガラスでできたどたまかなづちをかぶって、目を輝かせて言うアバン。
「見てください!このどたまかなづち!!この撮影のために作ったそうですよ!!ベリーベリーブリティーじゃないですかー」
と、語尾にハートがつきそうな勢いで嬉しそうに言うアバン。やる気満々な雰囲気しか感じ取れなくて、フローラはたじろいだ。
「ほら、サイドにレースもついてるんですよ!とっても可愛いですよね」
いや、ガラスでできたとしても、サイドにレースがついたとしても、どたまかなづちはどたまかなづちだ。可愛い訳がない。
ううっ……可愛い……!!くそっ……!どたまかなづちをかぶってても可愛いとかどう言うことなんだ……!!流石アバンだ。どんな格好してても可愛いな……!!
だが、フローラの思考は通常運行で、アバンを見ながらそんな事を考えていたが、ふるふると首を振って口を開く。
「いや、アバン……流石にそれは……!」
「フローラ様の分もちゃんとあるんですよ!!だって王子様役ですからね!」
と、宝石で飾られたどたまかなづちをさし出した。
「フローラ様のどたまかなづちはとっても豪華ですねぇ」
「……………………」
とても羨ましそうに言うアバンを前に、フローラは顔面蒼白になっていた。
私が?これを?
いやいやいやいやいやいやいいや!!!
無理!むり!MU⭐︎RI!!!
「あー……アバン……流石に、それは……」
「えっ?どうしました?」
無理だと言おうとしたら、大きな目をぱちくりさせながら、首をかしげるアバン。フローラは思わずうっ……と詰まってしまう。
「もしかして……いや、ですか?」
途端に悲しい顔になったアバンにフローラは首を大きく振った。
「いや!違うぞ!アバン!!」
「じゃあ、撮影引き受けてくださいますよね。では、これ、被ってくださいね」
パァァ……と、明るい表情でそう言うアバンに、フローラは視線を逸らしながら引き攣り笑いを見せた。
「あー、いや、だからな……アバン」
たとえどんなにアバンが可愛くても、どうしても無理なものは無理だ。フローラはゆっくりと後退りをする。
「でも、嫌じゃないんですよね?」
そんなフローラに豪華などたまを持ったままジリジリと迫っていくアバン。
「そ、そうだが……しかし……」
こんな、王様と王妃の攻防が小一時間続いた挙句に、もちろんフローラが根負けしたのだった。
オマケ終わりwww