幸せはきみのかたちふわりと、パンが焼けた匂いが鼻をくすぐる。
なにかじゅうじゅうと焼いてる音、それからコーヒーだろうか、コポコポ沸き立つ音もする。まだ寝ていたい気もするけれど、目蓋が自然とあいてしまった。そうだ、せっかくのふたりオフーーと頭によぎり、がばりと起き上がる。腰が昨晩の余韻からか、少し重たいけれど我慢するほどでもない。脱ぎ散らかしてたはずの服も無くなっていて、新しくクローゼットから部屋着を出す。また出かけるときに考えればいいから今は適当にTシャツとスウェットで。
「おはよ、傑」
着替え終わった瞬間に、後ろからぎゅう、と抱きつかれて。悟は肩越しに青い目を煌めかせた。サングラスから覗く目は甘くとろけていて、でもきっと自分もこんな目をしているんだろうなと少し気恥ずかしい。
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