キラキラした1年のはじまり「レイジくん!はっぴーにゅーいやー!!!あけましておめでとう!!」
「…」
「レイジくーん、新年早々テンション低いね、どうしたん?」
そんなのてめぇが、夜中の0時から朝までずぅぅっっっっっっっと、同じことばっか言ってくるからウンザリしてるンだよ!
と言うのも面倒くさいから、レイジはレオンをスルーして歯磨きを続けた。
シャコシャコシャコシャコ…。
ご機嫌なレオンも同じように歯磨きを始める。
「フンフンフーン♪ ひああへやなぁ~」
歯を磨くか喋るか鼻歌をするかどっちかにしろよ。
歯磨き粉飲み込むぞ。
と思ってる側から、レオンは、ふにゃあー!!と間抜けな声を上げた。
レイジがどうした、と言う前にレオンはわざわざ報告してくれる。
「レイジくん…歯磨き粉のんじゃったよぉ~」
ったく、言ってるそばから…(言ってないけど)。
レイジはそんな慌ただしいレオンを横目に、歯磨きを終えて、洗面所を後にする。
窓から差しかかる太陽の光が、灯りのついていない部屋に降り注ぎ、ほこりがキラキラと輝いてるのを見て、綺麗だな、と思った。
新しい年にふさわしい景色だなとさえ思えた。
今レイジの部屋には、レイジと、あとレオンの2人きりだ。
ダイヤはシンジん家へイチャつきに行ってる。
一緒に歳を越すとか年始から一緒に過ごすとか、ほんっっとゲロゲロなくらい甘々だな、アイツらは。
…ま、こっちもレオンがどーーーーーしてもレイジと一緒にいたいからと、大晦日からずっと二人でいるんだがな。
仕方がなくレオンに付き合ってやっている。
「レイジくーん!」
「わっ?!」
そんなことを考えてたら、レオンの突然のバックハグに気づかず、思わず驚愕の声を上げてしまった。
「ひっつくな!」
「ええー、いいやん、今二人っきりなんやし、それにボクら仲良しだしっ」
そう言うレオンは、ウザイくらいにレイジの身体をぎゅーとハグしてくる。
「寒いけどレイジくんをぎゅーするとそんなん忘れられるわ~、猫さんみたいにあったかいな♡」
確かに…、と言うよりは、寧ろレオンの方が体温高めだから温かい…とはレイジはわざわざ言わない。
言うとレオンはすぐ調子に乗って、さらにぎゅーーとしてきて、より鬱陶しくなるからな。
「ボクね、ほんっっっまいま幸せなんよ。こうして新しい1年をレイジくんと迎えることができて」
「そりゃそうだろうな。このレイジ様と一緒に年越せるなんて有り難き事、今後早々無いだろ」
「そんなことないよぉ!
来年も、再来年もずっとずっとこの先、ボクは大好きなレイジくんと一緒に新年迎えるんやから、毎年ハッピーなんや!! 毎年アリガタ年越し更新するんや!」
「…なんだよ、アリガタ年越しって…」
ダイヤとシンジのゲロ甘なベタベタっぶりも大概だが、レオンも相当だなと思う。
ほんっっと、新年早々…レオンは…。
「ふへへっ」
「ンだよ、変な笑い声出して」
「だってほんまにボクめっっちゃ幸せやもーん♪ えへへっ♡」
レオンの太陽の光のごとく眩しくて無邪気な笑顔が、レイジの頬をスリスリするくらい近い距離にいて、嫌でも視界に入った。
けど、嫌いじゃない。
レオンの懐き具合が移ったのか、思わず、レオンの頭に手を添えて軽く撫でてしまう。
やっぱり温かくて、ふわふわな感触で、不意に口元を緩ませてしまう。
「えへへー♡ わんわん♡」
「犬かよ」
ほんっと、一緒にいて…退屈しない奴だ。
~完~