毎日SS8/22「やっぱり変身魔法は出来ないのよ」
「だからって、この惨状をどうするんだ」
「うーん、そのうち戻るんじゃないかな?」
ごめんね、と舌を出す。反省の色が見られないのは、魔法に害意が全くないからだろう。
「まったく……」
ニコの魔法が暴走することには慣れている。巻き込まれるのは日常茶飯事だが、不運にも、今日は他の住人たちが全員不在だったことでモリヒトが被害を被ることになってしまった。
ニコに悪意がないのはわかっている。これも、人の役に立ちたいという思いが暴走してしまった結果だとすれば責める気にもなれない。
モリヒトが深く溜め息を吐いた。
「外ではやるなよ」
「それはもちろん」
ソファの前で正座したニコが、モリヒトから目を逸らす。
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