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    ねずちゅー

    @nezutyuuusan

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    ねずちゅー

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    ちきんさんとこの転ちゃんと自転双子が絡んでおります。冒険ファンタジーです。
    自転♀視点

    (下)ちきんさんの転ちゃんと自転双子の冒険ファンタジー セレスティアが花を引き抜くと、先程まで暗かった通路が急に明るくなった。
     壁の中から炎を纏った松明が出現したのだ。

    「え?帰っていいのかい?」

     シャルドネはセレスティアにそう聞いた。

    「……たぶん」

     だが、そう簡単に帰してはくれなかった。
     私たちが通路に出た途端、花が咲いていた後の部屋との間に壁がスライドしてきた。
     そして、ビリビリッと音を立てながら壁からレーザーのような電磁波が複数出現する。
     縦に横に斜めからとレーザーが私達が進むことを拒んでいる。
     レーザートラップだ。

     シャルドネは杖で帽子を出現させ、帽子をフリスビーのように投げ入れてみる。
     レーザーに当たるたびに穴があきボロボロになっていく帽子。
     やはり、このレーザーには貫通する力があるようだ。
     もし触れたら身体は切り刻まれ、二度と日の光を浴びることができなくなるだろう。
     
    「うわー、帰す気ないってか」

     シャルドネはドン引きする。
     

    「見て」
     
     セレスティアは通路の最奥にある何かを指差す。

    「奥にボタンがあるわ。でも離れていて魔法で押せない……。直接誰かが押しに行かないと」

     そんな!
     セバスチャンが驚きに言葉を発した。
     
    「石を投げてみるか?人が行ったら只事じゃなくなる」

     そう言いながら、セバスチャンは床に丁度よさそうな石を一生懸命に探し出した。

    「……これは……ルティの出番だな」

    「は?君は正気か?大事な姉に死にに行けって?僕だったら妹にそんなこと言わないぞ」

    「何、勿論心配しているさ。君がアンを思う気持ちより、私は双子を信頼している……ということだよお坊ちゃん」
     
     ご理解頂けたでしょうか?
     シャルドネは少しイラついたのか、セバスチャンに冷たく言い放した。
     
     弟が感情を見せるのなんて、珍しいわ……。

    「……皆……大丈夫……待ってて」

     私は魔法で自身の服を戦闘用の服装に変えた。
     黒いタートルネックに黒いズボン。
     これからの運動には動きやすい服装にしないと……ね。

     私は足腰に力を込め、一気に駆け出した。

     レーザートラップなんて、私には簡単すぎる。
     だって全然動かないから。
     いとも簡単に避けられる。

     私は身体を曲げたり伸ばしたり、しゃがんだり飛んだり、転がったりを繰り返しながらお目当てのボタンに到着した。

    「ほら?ルティは凄いだろ?」

    「「…………」」

     セバスチャンとセレスティアは仲良くお揃いで口を半開きにしながら、目を高速でパチパチと瞬きしていた。

    「……押すね」

     私は石のスイッチをグッと押し込んだ。
     予想通りレーザーが消えた。

     だが、代わりにゴゴゴッと重い物音が響き渡るようになった。

     シャルドネが上を振り向くと何かを見てビクッと驚き、セバスチャンとセレスティアに慌てて言葉を発する。
     
    「走れ!2人とも!早く!」

     シャルドネの掛け声と共に、3人は私の方まで走り出した。

     ドスッ
     先程3人がいた場所には巨大な丸い石が上から落ちてきた。
     そして、3人を押し潰さんばかりに迫ってくる。

    [アレスト・モメンタム]

     セバスチャンが魔法で必死に止めようとするが、これもまた無効化が施されているのか無駄に終わった。

    「セバスチャン、そんなことより走れ!」

    (ごめん……私が[アクシオ]できたらいいんだけど……)

     魔法が苦手でごめんなさい。
     私は心配でソワソワしてしまう。

     だが、3人は無事こちらの扉側まで来れた。

     ズドンッ
     扉と丸石が接触した重い音が響き渡る。

    「はぁっ、はぁ……っ、はぁー」

     シャルドネは壁に背をもたれるように息を整えていた。

     他の2人は地面に座っている。

    「はぁっ、はぁっ……一体、この遺跡の製作者は何がしたいんだよ……」

     セバスチャンは息も絶え絶えながらそう呟いた。

    「はぁっ、はぁっ、こほっ、こほっ」

     私は咳き込むセレスティアさんの背中を優しくさすってみた。

    「ありがとう」

     セレスティアはニコリと私に微笑んだ。

    「……無事に回収したし、次のことで作戦を練ろうじゃないか。私にいい考えがある。聞いてくれるか?」

     シャルドネがニヤリと悪い顔をして微笑む。
     彼の瞳の奥が怪しく光り輝いた。
     
     
    ――――


    「貴様ら、遅かったじゃないか。もうすぐ日が沈むところだぞ」

    「おやおや、五体満足で帰ってきたというのにガツガツきてまぁ、思春期か?」

     男たちが一斉にシャルドネに杖を向けた。

    「おいおい冗談だよ。本気になるなよ」

     シャルドネは降参の意味を込めて両手をあげてヒラヒラとさせる。
     
    「約束のブツを出せ」

    「はいはい、お望みの物はこれだろ」

     シャルドネがポケットから取り出したのは、不思議な色をした薬が入った瓶だ。

    「不思議なことに、さっきまで花だったのが日の光に当たって変化してね……この薬が何か特別なのか?」

    「実は……不死身と祭壇の壁に書かれていたわ」

     セレスティアが静かに堂々と答える。
     シャルドネが鼻で笑う。
     
    「不死身になりたいとは……そりゃ貪欲だね」

    「渡しな!」

     囚われていたはずの女性は、男共らから薬が入った瓶を引ったくった。
     そして、疑いもせずに瓶の中身を飲み干した。
     
    それを見たシャルドネはハッと鼻であざ笑った。

    「やはりねぇ……普通の村人にしては子綺麗だ……さてはお貴族様か?それか侍女か……まぁ……どっちでもいいさ」

    セバスチャンが天に目掛けて魔法を唱える。
     
    [ルーモスマキシマ]

    「うぅっぐっ!――ぐぁあー」

     私はその合図で敵を殲滅するため、効率よく消していく。

    「ふははははは!さぁ、パーティのはじまりだ!」


    ――――


     私は刀を軽く一振りして血を落とし、それから鞘に納めた。

    「……しっかしまぁ、ザマァねぇな。まんまと子供騙しに引っかかって……愚かだ。実に愚かだ。そんなに不死身になりたかったのかい?」

     目の前に転がっているのは女性だったはずの豚だ。
     実はこの薬、弟がギャレスから貰ったやつらしい。

    「心を労ってくれる理解者たちは消えていき、誰にも何も報われず虚無感を持って永遠を生きる……そんな人生はごめんだね」

     シャルドネは豚を足で蹴飛ばした。

     私はシャルドネの頭を叩く。

    「あでっ。ルティ……」
     
     シャルドネ……お行儀が悪いわ。
     私はコラッ!メッ!と弟を叱る。
     お姉ちゃんだから、弟をちゃんと言い聞かせなきゃ。

     セバスチャンはセレスティアに怪我がないか念入りにチェックしていた。

    「……おい、少し髪が焦げている。大丈夫か?」

    「えぇ平気よ」

    「しかし……とんだ災難だったな……。セレスティア、今度は気を付けろよ」

    「まぁ一興があってよかったよ」

     シャルドネが2人の会話の間に入った。
     
    「セレスティア、花はどうなったんだ?」

     セバスチャンが思い出したように聞く。
     
    「あ!確認してなかったわ」

     セレスティアがあるものをポケットから取り出す。
     私たちに見えるように手のひらに乗せて見せてくれた。

    「ピアス?2つあるな」

    「これは通信ができる魔道具なの。着けている者同士が遠い場所でも話ができる……そう壁に書かれていたわ」

    「……じゃあ、お二人さん1人ずつ着ければいいんじゃないか?」
     
     シャルドネが名案だと言わんばかりに言う。

    「「えっ!」」

    「だって私らはそんなの無くても、双子同士で会話ができるし。誰かに渡す……なんてないからな。それとも何?付き合ってなかったのか2人とも」

    「「そ、そんなこと」」

     あれ?読み間違いかな?
     シャルドネは首を傾げている。

     私はセレスティアの手のひらにあるピアスを1つ、セバスチャンの手のひらに置いて2人にニコリと微笑んだ。

    「……まぁ、時間がある時連絡するよ……」

     セバスチャンが照れているのを隠すように目線を逸らしながら話す。

    「…………」

     セレスティアはというと、顔が真っ赤になって俯いていた。

     これ……本当に付き合ってないの?
     私は不思議な気持ちになる。

     でも……まぁ、時間の問題ね。
     
     
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