ライラック君との出会い(桃悟君side)前話を読んでいただけると話が分かります!!(くそ、身体が小さいとこんなにも不便だとはな)
俺は必死で姉シャルロットの昼寝スポットである場所まで全力で走っている。
とはいっても、側から見たらヨチヨチ歩き程度のスピードにしか見えないだろう。
ああー!!
この身体、マジで動きずらい!
「あれ?子供?」
すると、俺の見知った友が顔をハテナにしながらこちらを見ていることに気付いた。
桃悟だ。
俺は彼の近くまで頑張って走る。
彼はその間、俺の走りをソワソワと心配そうに見ていた。
ふぅ……。
ようやく辿り着いた。
俺は額の汗を拭う仕草をする。
パチパチ。
何故か桃悟から拍手が送られてきた。
……まぁ、悪くない。
俺は両手をバンザイする。
「桃!抱っこ!」
目的を分かりやすく言う俺、すごい。
「え?抱っこ?いいよー」
そう言いながら、桃悟は軽々と俺を縦抱きしてくれた。
ビシッ!
俺は前を指差した。
「ルネ、ルティのところ行く!早く行くの!」
「え?ルネ?それにルティ?……もしかして、君ってシャルドネ君?」
「そう!俺はしゃるろね!早くお姉ちゃんところ行く!」
俺は指を何回も前に指差す。
早く動いてくれ。
姉が待っているんだ。
「ぅうぅーん!早く!」
「わ、分かったよ。よし行こーねー」
桃悟は不思議そうな顔をしながら目的の場所に向かいだす。
フワッ。
桃悟から果実のいい香りがしている。
俺はクンクンと匂いを嗅いみる。
「桃悟ってやっぱり桃の匂いする!」
「え?桃の香り?たぶんシャンプーの香りかなぁ」
桃悟に全然思いが伝わってないことにイラッとする。
俺は両腕で大きい丸を表すように腕をあげる。
「桃の匂いがこぉーーんなに!なんだよ?!桃がすごいんだよ!」
どうだ!
これで伝わっただろう!
「ふふっ、褒めてくれてありがとうね」
桃悟は俺の頭をよしよしと撫でてきた。
ふふん。
撫でられるのも悪くない。
――――
ようやく目的地に辿り着いた。
「ここであってる?」
「あってる!おろして!」
俺はジタバタと動き回る。
桃悟はそんな俺を落とさないようにソッと優しく降ろしてくれた。
俺は木の近くまでテクテクと歩く。
だが、そこにはお目当てのシャルロットがいなかった。
「なんで!待ってって言ったのに!なんで待ってくれないの!……っうぐ、なんでルネを置いてくの?…………いやなの!ダメなの!」
俺は両手で自分の服を握りしめる。
試しに念話でシャルロットに話しかけてみる。
[おい!どこにいるんだよ!待ってっていった!]
だが応答はなかった。
俺は限界を超えた。
「…………うぅぅぅ……、えぐっ、……うあぁぁーーーん!!」
「おいで、よーしよーし、良い子良い子」
俺は桃悟の腕に飛び付いた。
彼は優しく俺の頭を撫でてくれる。
「僕と一緒にお姉ちゃんを探しに行こう?ね?」
「……うん」
桃悟はまた俺を縦抱きにする。
俺は桃悟に顔を見られないように、顔を服に埋め隠した。
俺は桃悟のローブに涙をたっぷりとつけてやるつもりで。
「よし!じゃあ行こ!お姉ちゃんどこにいるのかなー」
桃悟は俺をトントンと優しく寝かしつけるようにソッと叩く。
その居心地の良さに俺が寝落ちるまで、そう時間がかからなかった。