未定秋が深まり、朝夕の冷え込みが冬が近いことを教えてくれるようになったある日の夜。五条悟が、いつものように暖かい光を灯す玄関を開け、愛しい伴侶の名前を呼び、リビングのドアを開ける。
「悠仁、ただいま!」
「悟さん!おかえりなさい」
満面の笑みで悠仁が広げた五条の腕の中にとびこんできた。
誂えられたようにぴったりと腕に収まるひとまわり小さい愛しい体を抱きしめてその匂いを堪能する。
「3日ぶりの悠仁の匂い~」
「うはは、くすぐってぇ」
悠仁がケラケラと幸せそうに笑いながら五条を抱きしめた。
しばらくお互いの体温を分けるように抱きしめあっていたが、悠仁が身じろぎ五条の腕から逃げるように距離をおいた。
「ゆ、悠仁?」
突然の行動に驚き、目の前に立つ悠仁を呆然と見ると、その目は獲物を狩る獣のように爛々と光り、体には殺気を纏っている。
「どうし「くさい。女の人臭い」
その言葉に思わずギクリとした。
それを見逃さず、悠仁の唇が笑みのかたちに切れあがり、挑むように五条を睨み付けた。
「心あたりあるんだ。五条先生」
「悠仁、あのね」
「わざわざ、無限をはずして、ね…俺にはわかんないと思った?」
「誤解だよ。話をしよう…」
殺気を放っている悠仁に手を伸ばし、近づこうと足を踏み出す。
「近寄んな!」
振り絞るように声を張りあげ悠仁は身を翻し、寝室に閉じ籠ってしまった。
「悠仁…」
何やらガサゴソと音がしていることに不安がよぎる。
途方にくれながら寝室のドアを呆然と見つめる。悠仁が