日が沈んで空がオレンジから濃紺へと変わる頃、晩ごはんの支度をするために立ち上がりキッチンへと向かった。
献立を考えつつ冷蔵庫から野菜やらお肉やらを取り出していると、ふと背後に気配を感じた。一緒に住んでいるのだから、考えるまでもなく、千堂さんだ。
「手伝おか」
人懐っこい笑顔を浮かべて、私の肩越しに覗き込む千堂さんと目が合った。思いの外距離が近くてドキドキする。
以前、構ってほしかったのか、料理をしているところを猫のようにウロウロされ、危ないからと諌めたことがあったので、手伝うなら許されるという考えなんだろう。
一緒に料理なんて新婚みたいだ、なんて考えが頭を過ぎって思わず頬が緩んでしまった。
「それじゃあ……切っていただけますか?」
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