この傷は俺だけの死を目の前で見るなんて何回もあった。
殺される、死を選ぶ、灰になる....見慣れたまではいかなくても身近にはあって、ただ少しだけ....少しだけ、俺は"夢を楽しんでただけ"だった
「はっあっっ.....」あの時、俺がバットを振るって"死"をホタルから退けてれば....黄泉は刀を抜けなかったと言っていた。仕方ないこと、ただアベンチュリンの言ったことは嘘でもないだろう。今は...この最悪な目覚めを拭いたくてでも拭えなくて泣いてもなにもならない。
無意識に夢境に向かい、ふらふら彷徨い気づいたらクロックボーイ像の前に来ていた。
何も考えたくなくて黄昏ていると後ろから大きな影が後ろから伸びている
足音を立てずにこっちに来てましてや擦り合わせる音が聞こえる
振り返らなくてもわかるな...
「これはこれは〜お兄さんではありませんかどうされましたか....んあれ貴方おひとりですか列車の皆さんといらしてると聞いていたのですが」
キョロキョロ周りを見てなの達を探してる大男もまたなんとも....滑稽と言うかなんと言うか。
「お前、本物また花火とかじゃないだろうな」
振り返ると案外間近に居たのに驚く
胡散臭い顔が近い、俺の顔を覗くサンポは急に優しい声色になる
「僕は正真正銘サンポ・コースキです、それはどうでもいいですが...穹さん寝れてないでしょう顔色が良くないです....なにかありましたか」
話しなさいと言われてる感じがする。
その声は...ズルい。今のだけで俺の心の傷が暖かいので少し和らいだ
あっ.....でも、だめだ...声を出すとなにか零れてしまう
コイツに....コイツだけには見せたくないな
無言でサンポに抱きつくと優しい手つきで頭を撫でられる
「今日は甘えん坊さんですかそれとも嫌な、最悪な事でもありましたか....話したくなったら言ってください」
僕は離れませんからと脳天気なようで耳に心地良く響く声に甘えてしまう。
「サンっポっ....もっとっもっとっ撫でてっ」
サンポにお願いした時に顔を上げたら俺の頬になにか伝うモノを感じた
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花火に巻き込まれ綺麗なお姉さんにもからかわれ散々な1日だと思ってたのもつかの間、お兄さんがフラフラと街を彷徨っている。なんだか危なっかしげで消えそうな光に見えた。
ああ、それはいけない。
ぼーっとしてる穹さんの後ろに立っても反応が薄い
いつもなら「何か企んでるのかサンポ・コースキ」とか「手持ちもいい物もあげないぞ依頼も受けないからな」ってバットかあの熱そうな槍を振るいながら言うのに...
「これはこれは〜お兄さんではありませんかどうされましたか....んあれ貴方おひとりですか列車の皆さんといらしてると聞いていたのですが」
周りを見渡す限り1人のようですね...
「お前....本物また花火じゃないだろうな」
振り返りながら言う彼の顔はいつもの元気もなく本当に消えそうだ。
おや、随分花火に遊ばれたようで...花火も花火で失望したって言う割に楽しめたようで。
ただ.....
遊ばれてこうはならないでしょう...これは相当、嫌なことでもありましたね
「僕は正真正銘サンポ・コースキです、それはどうでもいいですが...穹さん寝れてないでしょう顔色が良くないです....なにかありましたか」
様子を伺いながら隈が酷いなと考えてると抱きつかれた。ついでに、啜り泣く声が聞こる...
ああっ、穹僕と会う前に一体何があったんですか
優しい手つきで頭を撫でると頭を擦り付けてくる少年
「今日は甘えん坊さんですかそれとも嫌な、最悪な事でもありましたか....話したくなったら言ってください」
僕は離れませんからと出来るだけ、彼の不安が和らぐように声をかける
「サンっポっ....もっとっもっとっ撫でてっ」
穹さんにお願いされた時、顔を上げた彼の頬にポロポロと雫が伝っていた
嗚呼、こんな状況の貴方から夜の誘い文句なんて聞きたくなかった...。