おいでぷすケエコオと農場の鶏が鳴き、いつも通りの朝がやってきた。昨晩アイロンをかけ直したばかりのかっちりと整った制服を纏い、出勤準備を整えた徳州はスケジュール帳を確認しながら今剥いたばかりの朝食のりんごを齧っていた。時計は6時15分43秒を指している。蒸気の上がった卓上ケトルを手に取り、紅茶のティーパックが入ったマグカップに湯を注いだ。
茶葉の形も見えやしない、湯の温度もおおよそにしか分からず、茶器は若からいただいたニワトリ柄のマグカップ。何もかもが「なっていない」とたまに龍井居士に見つかっていやに品よく非難されることもあったが、徳州にとっては濃いめに淹れた熱いお茶の苦味と心地よい喉への刺激で目覚ましになれば充分だった。
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