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    saki_ayakoi

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    saki_ayakoi

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    書きたいとこだけ書いてた文章。
    葵くんとのやり取り書いたら満足してしまった...。

    #あや恋
    catsCradle
    #空双
    emptyDouble

    空双👺🌱「......ねぇ。」

    お洗濯が終わり、一息いれようとした頃に縁側から声が掛かった。

    「...空耶さん!こんにちは。」

    いつの間に来ていたのか、いつものように縁側に座りながらこちらを見つめる金色の瞳。

    「......ん。」

    ポンポンと、自分の隣を示す空耶に誘われるまま腰を下ろせば満足そうに笑って頷いてくれる。

    「今日はどうしました?」

    「別に......休みだって言ってたから。」

    逢いに、来てくれたのかな...?

    いつもハッキリとした言葉は言ってくれないけれど、空耶さんは時間があると言えば顔を見に来てくれる。
    何処かに出掛ける訳ではないけれど、傍に居て、流れる穏やかな時間は掛け替え無いものだと思っている。

    たまには、出掛けたいなぁなんて思うけど......。

    「......ねぇ。」

    「はい?」

    「......どっか、行きたい?」

    「...良いんですか?」

    「行きたいとこ、あるなら。」

    「行きたいですっ!すぐに支度しますね!」

    「ん。」

    珍しい空耶からの言葉に、双葉は小走りに自室へ向かい外出の支度を始めた。

    今日はお天気も良いし、途中でご飯を買って外でお昼を食べるのも良いかも。
    甘味処に行くのも良いかな?
    女学校帰りに覗いた小間物屋もまた見たいな。

    「空耶さん、お待たせしましたっ」

    「...はや...。」

    少し動くと汗ばむ陽気。
    気だるげな空耶からお出掛けのお誘いとあれば、気が変わらない内にと、支度のスピードも早まった。

    「...ふっ......前髪、付いてる。」

    汗の滲んだ額に付いた髪を、ソッと直せば双葉の顔がカァッと赤くなった。


    …恥ずかしい...ッ...


    「...ありがとう、ございます...」

    「ん。」

    フッと笑う声と共に大きな手で頭を引き寄せられ、空耶にもたれ掛かると1本に束ねた髪を撫でられる。

    優しくて、温かい、大きな手。
    私は何度、この手に助けられたのだろう...。

    そのまま暫く身を預けていると、髪を鋤く様に撫でていた手がポンポンと撫で方を変えた。
    どうしたのかと見上げれば、優しい金色の瞳があって。
    いつの間にか腰を抱かれ、髪を撫でていた手は頬へと滑り落ちてきた。

    「...双葉...。」

    「...んっ...」

    触れ合った唇はちゅっと音を立てて、すぐに離れていく。

    「...ぁ...っ...」

    もっと、と言い掛けて口を閉じる。

    はしたないと思われたら嫌だ...

    そんなことを思った次の瞬間、グッと強く腰を引き寄せられ、再び唇が重なった。
    先程よりも、深く。

    「んっ...、ぁ...」

    触れた唇を舌で舐められ、そっと口を開けば滑り込んでくる。
    最初は何も出来ず、されるがままだった双葉だが、やっとこの頃は互いの舌を絡める様に動けるようになった。

    「んんっ...ふ、ぁ...」

    「...はっ...双葉...」

    しがみつくように服を握れば、空耶は双葉の身体を支えるように抱き締める。

    愛おしい...
    こんな感情が、自分の中にあるなんて知らなかった。

    もっと、触れ合いたい
    もっと、感じたい
    もっと、双葉が欲しい

    抱き締めるだけじゃ足りなくて
    口付けをしても足りなくて
    ここから先に進みたくて...

    でも、節度ってどうしたら良い?


    「...双葉......」

    双葉が欲しい...そう言ったら、あんたはどう答えてくれる?

    「...くぅ、やさっ...んんっ、や、まっ...ッ...」

    苦しそうな声に唇を離し、溢れた唾液を舐め取るとビクンと双葉の身体が震えた。
    ぎゅぅっと服を掴む姿が可愛くて、空耶は気が付けば首筋に唇を落としていた。

    あ。
    これ以上は駄目だ。

    頭では理解っているのに。

    「空耶さっ、ん...ッ...」

    ちゅっと音を立てて唇を離せば、瞳を潤ませて頬を赤く染めた双葉が居て。

    可愛い...

    空耶がぎゅっと抱き締めれば、双葉もまた腕を背に回して抱き締め返した。


    好きだと、思った
    愛おしいと、思った

    居場所を、見付けたんだ。


    「...やっぱり、夏は避暑行こうか...」

    「ふふっ...別荘、借りられますか?」

    「うん。借りる。...双葉と2人で行きたい。」

    「2人、で?」

    「うん。...だめ?」

    「えっと...駄目じゃないです。けど...父様に、許可を取らないと...。」

    「あぁ。うん。ちゃんとお願い、する。」

    「...空耶さんが?」

    「うん。大事なことでしょ?」

    「ぁ...ありがとうございます。」

    当たり前の事だと言わんばかりの空耶の言葉に、双葉は嬉しそうに笑った。


    そして、当初の目的通りにお出掛けに2人は街へ向かった。
    外出を少し渋っていた空耶だが、昼食にライスオムレツを食べようと誘うと、何とか腰を上げてくれたのだ。

    のんびりと歩きながら、空耶は当たり前のように手を繋ぐ。

    「空耶さんは何か見たいものありますか?」

    「いや。...双葉の行きたいところに行きたい。」

    「そうですか?じゃぁ、リアンでお昼を食べたらその通りにある小間物屋さんに行って良いですか?」

    「ん。」

    言葉は少ないけど、見上げた空耶の瞳は何処までも優しくて。
    でも先程の口付けを思い出して、直視出来ずに双葉は前を向いた。
    そんな双葉に気付いた空耶は、そっと耳元で囁いた。

    「...顔、赤くなってる。」

    「...ッ...」

    「...ふっ...はははっ...」

    空耶の囁きに更に顔を赤らめた双葉を見て、可笑しそうに
    声を上げて笑った。

    「あっ、わ、笑わないでくださいッ」

    「ははっ...」

    戯れ合いながら歩いていれば、あっという間にリアンの目の前まで来ていた。


    カラン、カランッ...


    ドアの鐘が鳴り、店主の桜時と葵がこちらを向く。

    「おっ、いらっしゃいお二人さん。」

    「いらっしゃい。」

    「こんにちは。」

    「相変わらず、仲良いねぇ。」

    桜時に言われその視線を辿れば、手を繋いでいることを言っているのだと気付いた双葉は、咄嗟に繋いでいた手を離した。

    「ぁ...。」

    離されたことに少なからず傷付いた空耶は、顔を赤くして俯いてしまった双葉の腰をそっと手を伸ばした。

    「空耶さっ...」

    「こっち。座るよ。」

    双葉が恥ずかしさにワタワタするのを横目に、座る席を決め、双葉をエスコートする。

    何で空耶さんはこう言うことをサラッと出来てしまうのだろう...

    嫌なわけではない。
    ただただ、恥ずかしい。
    人前で触れ合うことは、はしたない事ではないのだろうか?

    双葉を座らせ、その向かいに腰を下ろした空耶はさっきから赤いままの双葉に首を傾げる。


    「...どうかした?」

    「あ、い、いえっ!何でもないですっ」

    「...全く、低等遊民は少し周りの目も気にした方が良いんじゃないの?」

    「え?」


    水の入ったグラスを置きながら、葵が溜め息混じりに言った言葉に、空耶は意味が解らないと首を傾げた。

    「...双葉、ホントにコイツで良いの?嫌な事とかされてりしてない?」

    「あ、葵くんっ、そんなこと無いよっ。...空耶さんは、私が嫌がることは何もしない、よ?」

    「でも今だって強引に...」

    「...双葉は恥ずかしいだけでしょ?」

    「そりゃ年頃の女の子は人の目とか気にして恥ずかしくも思うでしょっ」

    「でも双葉くらいで嫁ぐ人も多いんでしょ?触れ合うくらいするんじゃないの?」

    「そっ...う、だけど...っ...」

    「葵ちゃん葵ちゃん、お嬢ちゃんが心配なのは解るけど、空耶ちゃんなら大丈夫よ。オジさんだって若い頃は好きな女と...」

    「ちょっ、ストーップ!」

    「おっさん、その先大丈夫?双葉の耳塞ぐ?」

    「え?え?」

    双葉の前に立ち、庇うように両手を広げる葵と、腰を浮かせて双葉の耳を塞ごうと手を伸ばす空耶の姿に、桜時はしょんぼりとしながらカウンター内へ戻って行った。

    「...別にいかがわしい話じゃ無いんだけどなぁ...こう言う時だけ息ピッタリだよねぇ...。」

    「おっさん、俺ライスオムレツ。」

    「あいよ~」

    「双葉は?何食べる?」

    「あ、えっと...私もライスオムレツを。」




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