緊張の糸が切れるって、きっとこういうことなんだと思う。
何日、ここに来なかったんだろう。…いや、一ヶ月は経っているだろうか。
長い、長い戦争が終わって。
重い足を引きずって自分の家へと歩を進める。
一晩続いた追悼会。明け方になって抜け出した。いつまでたっても会えないから。
旅人とマーヴィカ様が聖火に飲み込まれる時も、現れた時にも、競技場にはいなかった。
…最後に会ったのはアビスの進行が始まったばかりの頃、…まだ隊長と共に歩いていた時。
◆
「先に行ってくれ」
「…どうした」
「友達が来る。見られると困る」
まだかなり遠いけれど間違えることのない音。ここは渓谷になっているから今ならまだファデュイといるところは見られない。
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