雪が降る。積もっている。
去年の年越しは積もってなかったのにな。残念。
そんな事をぼんやりと、ベッドの上で窓を眺めながら考えた。
コンコン
「にーちゃん」
暗い部屋に差し込む光の線。
「ん、どうしたテウセル?もう寝る時間だろ?」
「そうなんだけど、にーちゃんにお客さんだよ」
「えっこんな時間にかい?誰だろう…ドアは開けてない?」
布団を避けて足を下ろすが心当たりがなさすぎて警戒心が働く。
「うん。ドアの窓から覗いたんだ。なんかキレイなお姉さんだったよ。寒そうなかっこして変なの」
「そうか、偉いな」
そう頭を撫でながら。
召使…なら多分「怖い人」だろうし。
師匠…なら多分来ない。
そもそも知る人物かどうかも怪しい。ファデュイの執行官が怪我で療養中。なんてまさか漏れたのだとしたら。
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