「ねぇねぇせんせ?」
布団の中、手をつなぎながら問いかける
「…どうした?」
まだ呼吸が整ってないその姿に微笑みながら、聞いてみる。
「水龍、知ってる?フォンテーヌの」
「ん…あぁヌヴィレット殿か」
ふーん知ってるんだへぇー
「ふふ…なんだ嫉妬か?」
「む…あーあー、だってさーまーた俺の知らない先生を知ってる奴が出てくんだもんなー」
ゴロンと仰向けになる。すると今度は先生がうつ伏せになって、俺のお腹に手を載せてくる。
…またヨコシマな頭になるからやめてくれ
「俺の過去は気にしないんじゃなかったのか?」
「んなこと言ったってやっぱ実際出てくるとさ、気になるじゃん…つか強いし」
完全に開放していなかったにしろ、一撃で沈められたのが悔しくて悔しくて。
「そういや、先生の亡骸龍だったけどさ、あの姿にもなれるってこと?」
「ん…まあなる気はないが…公子殿は俺に凡人を求めてるんじゃないのか?」
「ちょっと気になってさ。龍同士どっちが強かったのかなーなんて…痛っ痛い先生腹抉れる」
優しく擦っていた筈の手のひらが急に爪を立てて突き刺さる
「それは俺だろう?」
「知らないよ急にやめてよねもう」
引き合いに出したのが悪かったのか…龍同士なんかあったのかな…聞かぬが花だろうけどこの感じ。
でも…
「ねぇ、ちょっとだけ龍になれたりする?」
「凡人はどうした」
「お願いちょっとでいいから」
座り込み(前は隠して)少し考え込んでから
「目を閉じてくれ」
そう言われたのでウキウキしながら目を閉じた。
特に何の音もしないし気配も変わらない…けど
「いいぞ」
「ぅわ…」
あの亡骸でしか見たことのなかった角…と尻尾…
しっぽ。
「あまり…この姿は好きではない…」
「え、なんで…?ちょ、なんで避けるの?」
角を触ろうとすると背けられ、尻尾を触ろうとするとひらりとかわされた。
…なんかムカつく。
「おりゃっ」
「こら公子殿」
覆いかぶさるように押し倒し、尻尾を掴んだ
「あ…っ」
普通に握っただけなのに、何だその声は。
…無言のまま、そっと擦ってみる
「ん、こうし、殿…や…っ」
「うそぉ…」
力なくうつ伏せで倒れ込み顔は見えないがシーツを握りしめている
「ちょっとちょっと先生…?」
「ぅ…解っただろう…だから離しっ…あっ」
「なーに?こんないいもん隠してた訳?要するに『性感帯』なんでしょ?」
ビクビクと、先程で情事に及んでいたはずなのにまた昂ぶってくる。
「ちょっとひんやりしてて気持ちいね、せんせ?」
「んぁ…あっやめ…」
「ねぇ…」
その赤い耳にかぶりつくと悲鳴に似た声が漏れる
「前と後ろと尻尾、同時に出来ちゃうけど…このまま、する?」
「駄目だ…せめて戻らせてくれ…」
両手でオレの目を防ごうとしてくるけど力なくすぐに避けられる。
こんな美味しいの、やめるわけ無いじゃん。
「やーだ。先生、可愛いね」
「やぁっ…く、後で…後悔する、ぞ…んぁ…」
「楽しみにしておくよ」
水龍のおかげで良い思いが出来るなんて。ひどい目にあったかいがあるってもんだ。
◆
「先生ー。せんせー。ごめんてばー。ねぇ機嫌直してよ」
「知らん。出ていけ。」
「ひどっあんなに気持ちよさそうに…」
「人の弱みに付け込むなど卑怯だとわからないのか」
「…アンタ人じゃないじゃん」
「公子殿が見たいというからであってまさか触られるとは思っていなかった」
「それはごめん。だからまた今度見せ…」
「早く行け」
朝から先生の顔が見れないなんてつまらない…でもこんな先生を見れるのはオレだけ。
先生の弱点を知れるたび、オレは優越感に浸れるんだ。
オレだけの先生。大好きな先生。